天使な悪魔
お昼時のオフィスビル街は太陽が眩しくて騒がしい。


歩道を歩いている休憩時と思われる同い年くらいの女性、花屋の前で立ち止まりながら楽しそうに話しているカップル。


今日はどのお店でランチにしようかな?あまりがっつり食べる気にもなれないし・・・。


交差点を渡り、デパート前に差し掛かると私は思わず立ち止まってしまった。



ショーウィンドウを見上げる、「彼」の姿があった。一点を見つめた侭、動かない。


奇抜な銀の髪。遠くから見ても直ぐに分かる。


ふと、朝言っていた言葉頭に過る。


“接触してはいけない”ってどう云う意味だったんだろう?




職場もこの辺りとかかな?



光の反射で彼のピアスが見え隠れする。まるで感情を無くした様に硝子ケースを見つめている。




――ナニヲミテイル?――


機械的な声が響く。左右見回しても誰も居ない。


――ナニヲミテイルトキイテイルノダ!――




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