天使な悪魔
妖魔・・・?




話が全く見えない。




まさか・・・



現実世界では実際見たこともなかったけど、



男の子達の黒い翼に紅い目――






嘘だ・・・こんなの夢だよね?








「無関係な天使ちゃんを殺すのは可哀相だけど、悪いのは全部アイツなんだよ。」


何も言い返さない泪さんの手は小刻みに震えている。




「恨めよ。俺じゃなくてアイツをさ。」




どうしよう…この侭じゃ泪さんが…!



散らばった破片だらけの床。誰一人起き上がる気配も無い。



残りの漆黒の翼の男の子達はカウンターにあるお酒に気を取られている。


「今日はただ飲みだな。こんなあっさり仕込んでおいた睡眠薬に引っ掛かるとは。」


「こいつらの生気頂くのも忘れるなよ。まぁ、その前に乾杯するか。」





「………!」





斜め前のテーブルの下。光る何かを見付けた――


私はカウンターにいる男の子達の様子を伺いながら手を伸ばす。


棚に置いてあるアルコールに気を取られた彼らが背を向けた隙に、“それ”を掴み、走り出す。





「危ねぇ!おい、後ろ!」




カシャーン…




私の腕は思い切り掴まれ、食用ナイフは虚しい音をたてて床に転がり落ちた。




「もう一匹残ってたみたい。背後を狙うタチの悪い虫。」




男の子が落ちたナイフを拾い、遠くに放り投げる。
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