天使な悪魔
「へぇーそれはそれは。面白くなって来た。」


男の子の口角が上がる。


「俺は退屈でしょうがないんだよ。なぁ、お前ら。」


カウンターの方を振り向き、仲間に問い掛ける。


「賭けようぜ。俺とアイツどっちが勝つか。」


「乃亜…お前正気か?やり合うって、気無いんだろ、この天使ちゃんは関係無いんだし。」




天使ちゃんって泪さんのこと言ってるの?関係無いんだったら尚更――





「虫けらちゃん、良い事教えてあげるよ。こいつの正体は・・・」


「もう止めて下さい!関係無いなら、泪さんのこと傷付けたりしないで下さい!」



乃亜さんはお腹を抱えて笑い出した。



「あははっ…聞いた?彼女本当に未だ何も知らないんだね?」




泪さんは男の子を睨む 。



「バラされたくないんだぁ。じゃあ知られない内にこの子から始末しちゃうよ。」


乃亜さんの両手で作られた橙の輪が光の球が目の前に迫って来る。



バァァァァン!!!!!!



「・・・・・・・・・・・・!!」



身体が宙に舞い、床に打ち付けられる。擦り傷だらけの泪さんが私を庇っていた。




「泪さん……」


「逃げちゃ意味無いんだよ。お馬鹿ちゃん。」



ボッ………!!



ガッシャァァァン!!!!!!



瞬時に紅い炎が泪さん目掛けて飛んでくる。


背後のテーブルのグラスが割れ、泪さんは身体ごと数メートル先の壁に飛ばされる。


攻撃に直接は当たらなかったものの、相当ダメージを受けてしまったのか泪さんは殆ど動けなくなってしまっている。



「油断するからだよ…さぁ本番はこれからだ。」
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