天使な悪魔
小顔でロングの巻き髪、リボンのカチューシャがよく似合っていて本当に可愛いらしい。


「小桃ね、夕方家族の急用が入っちゃったの。申し訳ないんだけど早めに上がらせて貰うねぇ。もう店長には話してあるから。」


店長のお気に入りと云う噂もあった。派手で活発な感じの女の子達と仲良くしてるみたいだけど、広江はあまり快く思ってなかった。


「だから悪いんだけど、後も宜しく!お願い、ね!」


「うん、分かった。」


私が頷くと、小桃ちゃんは両手を合わせ、悪戯っぽく笑うと部屋を出て行った。


「見下してる感、見え見え。何であーゆーのが人気あるんだか分かんない。」


広江は頬杖をつきながら溜息をついた。


だけど私は今日一日の仕事が不思議と苦にならなかった。


(鶫さんの御蔭かな…。バイト終わったらメールしてみようかなぁ…。)


考えただけでドキドキする。まさかのデートのお誘いなんて。




結局私達は遅番まで残り、仕事を終えた。広江の提案で近くで軽く飲んで行く事にした。


夜の街はカップルや仕事帰りの酔っ払いがちらほら。


「七瀬はさ・・・鶫さんのどこに惹かれたの?」


カクテルを一口飲み終えた広江が頬杖をつく。


「んー・・・そりゃカッコいいし人目惚れっていうのはあるけれど、彼のこと未だ何も知らないんだよね。」


「お客さんとしての彼しか知らない訳だからね。」


カシスの甘味が喉を潤していく。


「七瀬には悪いけど例え付き合えたとしてもあのルックスからして女の人は沢山寄って来るだろうから、色々大変かもしれないよ。」


広江は恋愛経験が私よりもずっと豊富だった。確かに私も過去何度か付き合ったけど、長続きせず何時も浅い付き合いに終わっていた。


「まぁ、私は七瀬の幸せを応援するからさ。」


広江がにっこりと笑った。


< 6 / 38 >

この作品をシェア

pagetop