天使な悪魔
走った。ただひたすら走った。何も、見たくない。何も、感じたくない。


(馬鹿みたい…鶫さんが私みたいなの相手にしてくれる筈、無いのにね…。)


鶫さんと小桃ちゃんのツーショットは、まるでカップルそのモノだった。涙が止まらない。


(ちょっと褒められたからって、簡単に信じたりするからだよ…。)


何時の間にか近所まで辿り着いてた。目の前の蔦に覆われた塀は朝の幻想的な雰囲気とは違い、怖ささえも感じる。ポケットから片割れのリボンを取り出す。


―用が済んだらさっさと消えて。目障りなんだよ、ブス―


本当に今日は散々だった。


(鶫さんと小桃ちゃん、付き合ってるのかな?)


来店してた時は、特別に親しげにしてた感じは無かった。鶫さんのこと気に入ってるって話は前にしてたけど、本人の前では不思議とそんな素振り見せなかったし。そんなの上辺だけで実際には連絡取り合ったりしてたんだね・・・。

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