俺が彼女を抱けない理由
この時、俺はまだ葵の気持ちなんて全然分かってなくて自分の事で精一杯だったんだ。
「じゃあそろそろ三浦っちのとこ行こっ」
「そうだな」
そういって5人でお墓へと向かった。
まだお墓を目の前にしても三浦が死んだなんて信じられなくて少し戸惑う。
「俺、何お願いしようかな??」
「瞬、バカじゃない?」
夕実ちゃんと瞬の会話にその場が和む。
でもこの時俺は本当にお願いしていた。
『これからもずっと沙希と一緒にいさせてくれよ』って。。
三浦の恋も叶えてあげられなかったのにそんなお願い図々しいよな。
それでもその願いを三浦に託した。
「じゃあそろそろ行こうか。。」
「どこに?」
「まぁいいから」
瞬の車に全員乗せられ行き先の分からないドライブが始まった。
「夕実は知ってるの?」
「。。ううん知らない」
見覚えのある景色に俺達は口数が減っていく。
「降りて」
「うん」
それはあの時の海だった。
みんなと一緒に来た最後の海。。
「拓の誕生日会しよーぜ」
「えっ?」
「誕生日会って言ったって何も用意してないじゃん」
そういう夕実ちゃんに俺達は頷いた。
でも瞬は自信満々に遠くを指差した。
「お前ら俺を甘く見るな!用意も出来てないのに誕生日会しようなんて言うかよ」