俺が彼女を抱けない理由
「テント??秋だよ?」
「誰もここに泊まれなんて言ってないだろ。笑」
テントの中に一番に入った沙希と夕実ちゃんが大きな声で笑い出す。
「すごい〜!やっぱり瞬くん最高だね。笑」
「瞬、やるね〜」
「なっ?惚れ直した?」
「それとこれとは別!」
「・・やっぱり」
「葵も拓も入ってみて」
「うん」
「待て、拓は最後っ」
中に入ろうとした俺は瞬に腕を掴まれた。
「じゃあお先に。笑」
そういって葵ちゃんと瞬も中に入り俺は1人外に取り残された。
そんな状態で何分待たされただろう。。
「いいぞ〜」
俺はゆっくりと頭を中に入れた。
「拓、少し早いけど誕生日おめでと〜」
クラッカーの音が鳴り響く。
それは6年前と同じだった。
「ありがとうな」
「まだあの頃俺たち高校2年だったよな。。。」
「あぁ」
この海に来たあの日から全てが変わった。
あの時家に帰らなければ。。。
そんな事を悔やんでももうあの日には戻れない事は分かってる。でも戻りたかった。
俺達は今自分がどんな仕事をしているのか。
最近はまってる趣味、好きなテレビ番組。
他愛も無いことをなるべく沈黙にならないように話し続けた。
オードブルからケーキまで瞬の行動力には本当に頭が下がる。