俺が彼女を抱けない理由
「拓、仕事だぞっ」
「はい」
急いで下に戻った俺の前にはたくさんの女の人が集まっていた。
そして俺の肩を叩き親父がその人たちに俺を紹介する。
「お前今度のイベント仕切ってみるか?」
「えっ?」
「まだ無理か?」
「いや。やります」
「じゃあクリスマスだし若い子も多く集まると思うから頑張れよ」
「はい」
そのイベントはコレクションとライブのコラボで大きいホールで行われる事になっている。
そしてそれはクリスマスイブだった。
そんな俺一人ではさすがに不安だったんだろう。
「マナ!拓をサポートしてやって」
「あっはい」
マナさんと言うのは俺の5つ上で親父からかなり信頼されている人だ。
そして俺が思うには親父の女。。
「拓ちゃんヨロシクね」
「はぃ。こちらこそ」
誰からも愛されそうなかわいい感じの人で俺がここに来てからもいろいろ相談にのってもらっていた。
でもマナさんと親父が結婚なんてしたら俺の母親になるのか。。
親父。。。
「クリスマスなのに仕事で大丈夫?彼女怒らない?」
「彼女とかはいないんで」
「前よく来てた子は?」
きっとタマキの事だ。
「友達ですよ」
「そっか。拓ちゃんモテそうなのにね。」
「全然ですよ」
「祐ちゃんも今は仕事だけみたいだし兄弟揃ってもったいないね」
「いえいえ」
兄貴なんてモテない訳がない。俺とは違う。
きっと理想が高いんだよ。