俺が彼女を抱けない理由

「拓?」


「・・うん」


弱りきった母親の姿を見るのは辛かった。



これならまだいろんな男を追いかけてる母親の方がきっぱりと絶縁できるのに。俺は早くここから離れたくて用件だけを伝えた。





「あっこれ。親父から」



「ありがと」




「うん」




「入らないの?」




「・・・」



「自分の家なんだから」




自分の家。。。。


帰れば落ちついて暖かく迎えてもらえる、そんな家ならよかったのに。。





荒れた部屋に借金の明細、見たくないものがここにはたくさんあった。



「アイツは?」


「・・あぁ」



「別れたの?」


「他の女のとこにでもいったんじゃないかな」



それでいいんだ?


そんなちっぽけな思いのために俺はいくつ大切なものを失ったと思ってんだよ。



悲しくて、悔しくて涙が止まらなかった。


「ごめん。帰る」



「拓?」


「いまさら会いたいとか、母親づらするなよ。俺の気持ち考えたことある?もっと聞いて欲しい話とか、相談したいこと、いっぱいあったのに。」


抑えてた気持ちが一気にあふれ出した。


そしてそのまま逃げるように家をでた。



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