俺が彼女を抱けない理由
涙で前がよく見えない。。
いいかげんにしてくれよ。。
もう頼むよ。。
これだけ泣いたのは初めてだった。
「お〜い拓、帰ったのかぁ?」
親父の声にも振り返ることなく部屋に入る。
こんな姿は見られたくなかった。
俺は机の引き出しから封筒をとってエンジンがかかったままの車に乗り込みあの人の所へと戻った。
「拓?」
「足りないかも知れないけどこれで借金払って」
机の上に置いて玄関のドアを勢いよく開ける。
一瞬泣いてる母親の顔が見えた。
でも、もうここには帰らない。
絶対に。。
なかなかアクセルを踏めない俺のポケットの携帯が震える。
「・・もしもし」
「あっもしも〜し拓?初詣いこうぜ」
「・・・」
「拓〜??」
「うん行く」
「じゃあお前の自社ビル前まで迎えにいくからぁ〜笑」
俺は急いで帰って顔を洗った。
大丈夫だよな?ちゃんと笑えるよな?
俺は瞬がくるまでに心を落ち着かせた。
そして1時間くらいして瞬が迎えに来た。
「夕実ちゃんは?」
「実家で初詣いくからって断られた。。。」
「そっか。それは残念だったな。。笑」