俺が彼女を抱けない理由


「なんかこんな風に拓と話すの初めてかも」


「そうだな」


「アタシってあんまり誰にでも素直に自分の気持ち伝えたりできないんだぁ。でも拓にはいろいろ話せる気がする。だからずっと友達でいてね」


「・・わかったよ」


今、遠回しに振られたような気がした。



それでも香川にそういう風に思われてるのはすごく嬉しかったんだ。


「もうそろそろ着くぞ」


先生の声で外を見る。こんな山奥で何をさせようっていうんだろう。



宿舎につくと他の学校も何校か来ていた。




「とりあえず部屋に荷物置いて下りてこいな」


「はーい」


俺たちはゾロゾロと部屋に向かう。


当たり前だけど男女とも階も棟も違う。



「じゃあ長距離はこのままアップしてからクロスカントリーいくから。短距離は少し上にいったらグランドあるからそこで準備運動な」


「はい」


「頑張れよ」


松本先輩が香川に声をかける。


それを見て俺は立ち尽くすだけ。


「拓〜!練習逃げるなよぉ。笑」


そういって俺の頭を後ろから叩き香川はグランドへ走っていった。

なんでアイツはいつも俺の気持ちが揺れるような事をするんだろう。




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