俺が彼女を抱けない理由
第2章 age,17


あの日、母親は家を出て行った。

あの男と一緒なのか、今は違う人と一緒なのか分からない。

ただ通帳とカードだけは机の上に置いてあった。


さすがに無一文で捨てていく事は出来なかったんだろう。

この通帳には会った事のない親父からお金が振り込まれる。


あの人はお金がなくて大丈夫なのかな。。

また男に捨てられたって泣いてるんじゃないかな。


一人になった家でそんな事を考える。


この事は瞬だけには話した。

さすがに裸で抱き合ってるのを見たとは言えなかったけど。


俺は結局走る事にしか打ち込む事ができなくて記録は延びた。


これじゃ中学の時と何も変わらない。


「拓〜おはよ〜」


「おはよ」

「あっ、この子ね同じクラスになってすごく気合うんだぁ」


香川の横には色の白い透明感のあるきれいな子が立ってた。


これが葵に始めて会った日だった。


この頃から葵は俺のこと気にしていてくれたのかな。。




でも俺は香川とクラスが離れた事の方が寂しくてその時の葵の事あんまり覚えてないんだ。


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