俺が彼女を抱けない理由
秋の駅伝でアイツらは本当に作りやがった。
もうその旗が気になってしょうがない。
頼むから集中させてくれよ。。。
「拓〜頑張れ!!全員抜きなよっ!」
こんなに騒がしい中、やっぱり香川の声だけが聞こえる。
分かってる。
しっかり見てろよ。
俺は三浦からのタスキを4位で受け取った。
あと3人。。
全員抜いて松本先輩にタスキを渡してやるから。
ハァハァ
ハァハァ
前の背中がしっかり見える
後2人。。。
距離が足りない。
確実に近づいているのに。。
後1人。。。
無理か。。。。
最後の1人を残して松本先輩にタスキを渡した。
そして当然のように先輩は1位でゴールした。
「先輩すごいっ!!」
みんなが先輩の周りに集まってくる。
「拓、かっこよかったよ」
そんな中、香川がタオルを渡してくれる。
俺はそれだけで十分だった。
「結城くん区間新!!」
マネージャーの言葉に香川と夕実ちゃんが抱き合って喜ぶ。
「今日はパーティーだな」
「大げさな。。笑」
握手を求めてくる瞬の手を払って笑った。