俺が彼女を抱けない理由
半分開いたトランクで沙希の部屋まで運ぶ。


「これって捕まるぞ」


「え〜じゃあ急いで」


いや、沙希ちゃんそういう意味じゃないから。。




「沙希の部屋って何階?」



「2階」


「階段?」


「うん」


やっぱり。。

もう何を言っても無駄なのは分かってる。

沙希一人で運べる訳もなく結局俺が下になってソファを持ち上げた。





「せーのぉ」


「重いぃ」


重いってお前の方全然持ち上がってないから。。も〜。。



「ここ?」


「うん」


「入って」


こういう状況で沙希の部屋に入る事になるとは思わなかった。

部屋の中は女の子が好みそうなものは何一つなくて、本当に生活だけをしてるっていう感じだ。



「どこに置く?」


「テレビとPCの間くらい」



「はいはい」

何回も向きを変えてやっと納得してくれた沙希はそのソファに座って座り心地を確かめている。




「いい感じ、拓ありがとう」



「いえいえ。じゃあ俺やらないといけない仕事あるからまたな」




本当はもっと一緒にいたい。


でも勢いで帰らないと帰れなくなると思った。


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