バーチャルウォーズ
しばらくすると井坂輝人が生徒会室にやってきて、さっそく校内を見て回ることになった。
そして、竜輝の思惑とは違って、雪美はいつのまにか輝人に手を引かれて歩いていた。
「あ、悪い。昔のクセで、つい手を引いてしまってな。」
「昔の・・・って?」
竜輝が輝人に質問すると、輝人は雪美が小さい頃に遊んでいた思い出を話した。
「この子がちっちゃいときにこうやって手をつないで遊びにいったもんさ。
まぁ、お兄ちゃんみたいなもんかな。
あっ、おまえら・・・このコにいじわるとかイヤラシイことしたらタダじゃおかないからなっ。あははは。」
「先生の方がその言い方だとよっぽどあぶね~んじゃないの。
職権乱用でセクハラしないでくださいよ。
見つけたら、風紀委員長の僕がきびしく取り締まってクビですからね。ふふふっ」
雪美はそんな輝人と竜輝のやりとりを聞きながら、先頭を歩く咲と他の1年女子をチラッと見た。
女の子たちはとても楽しそうにあれこれと咲に質問しているようだ。
「なぁ、生徒会長ってこの前おまえといっしょに駅前を歩いてたヤツだよな。
見かけいいなぁと思ってたが、人気あるみたいだな。」
「ええ、人気ありますね。」
「ん~とどっかでああいう光景をみたような気もするんだけど・・・どこだったかなぁ。」
そして、文化部の活動を一通り見た後で、テニスコートの前を通ったときだった。
高井が練習を終えて出てきた。
「けっこう時間かかってたんですね~。
井坂先生、テニス部コーチ明日からってことでよろしくっす。」
「おお、明日から覚悟してろよ。・・・・・あっ思い出した。
生徒会長、もう見学は運動部で終わりだろ。
ちょっと軽くテニスの相手をしてくれ。
君は相当なプレイヤーだったよな・・・。」
輝人の申し出に高井も目を輝かせて寄ってきた。
「僕は・・・もうテニスはしないので・・・。」
咲が困った顔をしながらそう返事をすると、輝人は
「ウォーミングアップも完全じゃないわけだし、軽くだけなら・・・いいだろ。
俺はテニスについて君のことをいちおうわかってるつもりなんで、直接知りたいんだけどな。
でないと・・・しつこくスカウトするよ。」
輝人がニヤリと嫌味っぽく咲にそういうと、咲は仕方なく上着を脱いでテニスコートに立った。
「咲がテニスをしてたのはほんとだったんだ・・・。」
「なんか嫌な予感がするな。」
竜輝は心配気な顔をしていた。
輝人は咲へ初心者相手のようなゆるいサーブを打った。
そして咲は同じように軽く打ち返した。
10回ほどのラリーが終わるや否や、輝人は真剣なスマッシュを咲の足元ぎりぎりにたたきつけて、すべてが終わった。
「そうか・・・よくわかった。ごめん、済まなかった。
つきあってくれてどうもありがとう・・・。」
咲は十分打ち返せるポジションと構えはしていたが、その後微動だにしなかった。
そしてすぐにラケットを返して「校内見学は終わりです。」と輝人につぶやいてコートを出ていった。
そして、竜輝の思惑とは違って、雪美はいつのまにか輝人に手を引かれて歩いていた。
「あ、悪い。昔のクセで、つい手を引いてしまってな。」
「昔の・・・って?」
竜輝が輝人に質問すると、輝人は雪美が小さい頃に遊んでいた思い出を話した。
「この子がちっちゃいときにこうやって手をつないで遊びにいったもんさ。
まぁ、お兄ちゃんみたいなもんかな。
あっ、おまえら・・・このコにいじわるとかイヤラシイことしたらタダじゃおかないからなっ。あははは。」
「先生の方がその言い方だとよっぽどあぶね~んじゃないの。
職権乱用でセクハラしないでくださいよ。
見つけたら、風紀委員長の僕がきびしく取り締まってクビですからね。ふふふっ」
雪美はそんな輝人と竜輝のやりとりを聞きながら、先頭を歩く咲と他の1年女子をチラッと見た。
女の子たちはとても楽しそうにあれこれと咲に質問しているようだ。
「なぁ、生徒会長ってこの前おまえといっしょに駅前を歩いてたヤツだよな。
見かけいいなぁと思ってたが、人気あるみたいだな。」
「ええ、人気ありますね。」
「ん~とどっかでああいう光景をみたような気もするんだけど・・・どこだったかなぁ。」
そして、文化部の活動を一通り見た後で、テニスコートの前を通ったときだった。
高井が練習を終えて出てきた。
「けっこう時間かかってたんですね~。
井坂先生、テニス部コーチ明日からってことでよろしくっす。」
「おお、明日から覚悟してろよ。・・・・・あっ思い出した。
生徒会長、もう見学は運動部で終わりだろ。
ちょっと軽くテニスの相手をしてくれ。
君は相当なプレイヤーだったよな・・・。」
輝人の申し出に高井も目を輝かせて寄ってきた。
「僕は・・・もうテニスはしないので・・・。」
咲が困った顔をしながらそう返事をすると、輝人は
「ウォーミングアップも完全じゃないわけだし、軽くだけなら・・・いいだろ。
俺はテニスについて君のことをいちおうわかってるつもりなんで、直接知りたいんだけどな。
でないと・・・しつこくスカウトするよ。」
輝人がニヤリと嫌味っぽく咲にそういうと、咲は仕方なく上着を脱いでテニスコートに立った。
「咲がテニスをしてたのはほんとだったんだ・・・。」
「なんか嫌な予感がするな。」
竜輝は心配気な顔をしていた。
輝人は咲へ初心者相手のようなゆるいサーブを打った。
そして咲は同じように軽く打ち返した。
10回ほどのラリーが終わるや否や、輝人は真剣なスマッシュを咲の足元ぎりぎりにたたきつけて、すべてが終わった。
「そうか・・・よくわかった。ごめん、済まなかった。
つきあってくれてどうもありがとう・・・。」
咲は十分打ち返せるポジションと構えはしていたが、その後微動だにしなかった。
そしてすぐにラケットを返して「校内見学は終わりです。」と輝人につぶやいてコートを出ていった。