バーチャルウォーズ
咲は雪美の言葉をきいて微動だにできなくなった。
ささっと雪美はその間に自室に入ってしまい、咲はドアの前に座り込んだ。
(高井のやつ・・・雪美にも言っていたのか・・・。)
『菅野先輩、どうしてテニスをしようとしないんですか?
肘は手術すれば、十分プレーできるときいています。
先輩に憧れてる人はとても多いのに、残念です。』
『手術してからリハビリして・・・年齢的にもクラブ活動どまりだよ。』
『それでも・・・先輩はテニスが大好きなはずですよ。
世界には出なくても、やりたいんでしょう?
俺は、菅野先輩に指導してほしいっすよ。
そう思ってる連中もいっぱいいるから、続けてほしいっす。』
(また、借りを作ることになるな・・・。でも。)
咲はドアをたたいて雪美を呼んだ。
「本当に、高井と試合するところを見たいのか?」
「はい。すごく見たい!
パパはいつも言ってるとおり、無駄遣いではないお金は遠慮しないようにって咲に言ってたでしょう。
それは咲のおばあちゃんがパパに言ってくれた言葉と同じなんだからって。」
「大学行っても趣味にしかならないけど、いいのかな。
俺はテニスから遠ざかってからずいぶんになってしまったし、今の目標はテニスじゃないし・・・それでもいいのかな。」
「就職するのに健康であるのは必須でしょ。
いつもは自分で言ってるクセに・・・。
変な気を遣っちゃダメです。
咲は会長のときは自信家で余裕風吹かせてるのに、家では遠慮ばっかなんだもん。
そりゃ、咲の立場だったら仕方がないのかもしれないけど、もう家族も同じなんだから・・・って、パパみたいなこと言っちゃった。あはは」
「ありがと。それともう1つあまえてもいいかな。」
「な、何ですか?私にできることですか?」
咲が自分に頼みごとをしてくれると思うと雪美は目を輝かせて質問した。
「うん。たぶん俺、リハビリ中に泣き言つぶやいたり、情けないカッコばかり見せることになるけど、それでも応援してくれる?」
「もちろん♪ お勉強は応援してもらってばかりだもん。
私でできる応援やお手伝いなら何でも言って。
でも、受験もあって大変になっちゃうね。」
「勉強は大丈夫さ。もう推薦してもらえることになってるし、兄貴の知り合いに教えてもらったりもしてるからね。
そうだ、もうすぐ兄貴が作ったスイーツを店で販売されるらしいんだけど、食べてみてくれるか?」
「ほんとっ!・・・あ、咲のお兄さんのいる店って近いの?
話はきいてたけど、お兄さんに会ったこともないし。」
「じゃ、今度紹介するよ。
兄も雪美に会ってみたいと言ってたからね。
見習いじゃなくなったから、奥で引っ込んでなくてもよくなったそうなんだ。」
「お兄さんもがんばったんだね。
うわぁ・・・何だか私までうれしくなっちゃう・・わ!?
わわっ!」
咲の胸にギュッと抱きしめられて雪美は驚かずにはいられなかったが、咲がうれしそうな顔をしているのを見たのと、胸の中がとても温かかったことで雪美も咲の背中に手をまわしてしばらくそのままでいた。
ささっと雪美はその間に自室に入ってしまい、咲はドアの前に座り込んだ。
(高井のやつ・・・雪美にも言っていたのか・・・。)
『菅野先輩、どうしてテニスをしようとしないんですか?
肘は手術すれば、十分プレーできるときいています。
先輩に憧れてる人はとても多いのに、残念です。』
『手術してからリハビリして・・・年齢的にもクラブ活動どまりだよ。』
『それでも・・・先輩はテニスが大好きなはずですよ。
世界には出なくても、やりたいんでしょう?
俺は、菅野先輩に指導してほしいっすよ。
そう思ってる連中もいっぱいいるから、続けてほしいっす。』
(また、借りを作ることになるな・・・。でも。)
咲はドアをたたいて雪美を呼んだ。
「本当に、高井と試合するところを見たいのか?」
「はい。すごく見たい!
パパはいつも言ってるとおり、無駄遣いではないお金は遠慮しないようにって咲に言ってたでしょう。
それは咲のおばあちゃんがパパに言ってくれた言葉と同じなんだからって。」
「大学行っても趣味にしかならないけど、いいのかな。
俺はテニスから遠ざかってからずいぶんになってしまったし、今の目標はテニスじゃないし・・・それでもいいのかな。」
「就職するのに健康であるのは必須でしょ。
いつもは自分で言ってるクセに・・・。
変な気を遣っちゃダメです。
咲は会長のときは自信家で余裕風吹かせてるのに、家では遠慮ばっかなんだもん。
そりゃ、咲の立場だったら仕方がないのかもしれないけど、もう家族も同じなんだから・・・って、パパみたいなこと言っちゃった。あはは」
「ありがと。それともう1つあまえてもいいかな。」
「な、何ですか?私にできることですか?」
咲が自分に頼みごとをしてくれると思うと雪美は目を輝かせて質問した。
「うん。たぶん俺、リハビリ中に泣き言つぶやいたり、情けないカッコばかり見せることになるけど、それでも応援してくれる?」
「もちろん♪ お勉強は応援してもらってばかりだもん。
私でできる応援やお手伝いなら何でも言って。
でも、受験もあって大変になっちゃうね。」
「勉強は大丈夫さ。もう推薦してもらえることになってるし、兄貴の知り合いに教えてもらったりもしてるからね。
そうだ、もうすぐ兄貴が作ったスイーツを店で販売されるらしいんだけど、食べてみてくれるか?」
「ほんとっ!・・・あ、咲のお兄さんのいる店って近いの?
話はきいてたけど、お兄さんに会ったこともないし。」
「じゃ、今度紹介するよ。
兄も雪美に会ってみたいと言ってたからね。
見習いじゃなくなったから、奥で引っ込んでなくてもよくなったそうなんだ。」
「お兄さんもがんばったんだね。
うわぁ・・・何だか私までうれしくなっちゃう・・わ!?
わわっ!」
咲の胸にギュッと抱きしめられて雪美は驚かずにはいられなかったが、咲がうれしそうな顔をしているのを見たのと、胸の中がとても温かかったことで雪美も咲の背中に手をまわしてしばらくそのままでいた。