バーチャルウォーズ
ただ、雪美は部活の練習をがんばって指先を怪我して困ることがあった。
グリーンアライブを遊ぶのにチャットが苦しいことだった。
マウスで狩りにいったりはできるのだが、チャットとなるとキーボードをたたくのが苦痛で、自然と無口になってしまうからだ。
昨晩などは、いちばん気のあう流輝とろくに会話ができなかったので、少し悲しかった。
とりあえずは突き指で怪我をしたことにしてあるのだが、当分指先ばかり怪我が続くと、流輝に愛想をつかされるのではないかと心配になる。
そんな心配をお風呂に入りながら、手が不自由だと実感している雪美だった。
ちょうどその頃、咲も手のマメをこすってしまい、大量の絆創膏を持っていると思われる雪美の部屋を訪ねていた。
「あれ・・・いないな。
あっパソコンの前にあるのは絆創膏だな・・・。
1枚くらいもらっても、どったことはないよな。って・・・・えっ!」
雪美のデスクに咲の体が当たってパソコンの画面が明るくなり、咲は思わず画面上のキャラクターと名前に目がいってしまった。
スノウ「今日は流輝さん、お休みなのかな。
私がすっかり無口だから怒っちゃったのかも。」
ナミ「そんなことないと思うよ。手を怪我してるんじゃしょうがないよ。
遊びなんだから無理をせずに楽しもうよ。
でも、スノウちゃんはほんとに流輝さんが好きなんだね。
ナミも流輝さん好きだけど、スノウちゃんの思いには負けちゃう。
ラブラブになるのを応援することにするよ。」
スノウ「ナミちゃんいいの?ゲームだし、どんなに好きになってもバーチャルの人だからね、夢物語なラブだもん。
ナミちゃんがあきらめることないと思うけど。」
ナミ「ううん。ナミは好きになるより愛されるのが好きなの。
それもナミだけ~を好きなのがいいの。欲張り?(*^.^*)エヘッ」
スノウ「うん、わかるわかる・・・私も愛されたいなぁ。
ごめん、指がもう痛いし、チャットはおちるね。」
ナミ「うん、お大事にね~」
咲は絆創膏を1つ取ってすぐに、自室へと逃げるように去っていった。
「はぁはぁ・・・スノウって・・・。
流輝が好きなのか。愛されたいって・・・。」
ドン、ドンドン!
「咲くん!お風呂あいたよ~。先に使わせてもらってゴメンね~」
「あ~、いや、手は大丈夫なのか?」
「そりゃ、あまりにも突っついてるから痛いけど、私のはリハビリじゃないから大丈夫。」
「そっか・・・。じゃ、俺も風呂いくわ。おやすみ~」
「うん、おやすみ~」
(手を痛めてしゃべれないスノウ・・・。そうだ!)
咲はすぐにパティシエをやっている兄に電話をした。