バーチャルウォーズ
4才上の兄、菅野弓(すがのゆみ)は住み込みで修業をしながら、パティシエの新人として都心近くの店にいた。
「久しぶりかな~・・・咲。
リハビリは順調か?おじさんには電話でお礼は言ったけど、近いうちにそっちに出向いて直接お礼を言いにいくつもりだ。
そのときに、俺の新作のスイーツをお土産に持っていくからな。」
「あのさ・・・じつは・・・兄さん。
ネットゲーでレベル上げたか?」
「お!おお~。初めて休暇もらえたときにがんばって上げたよ。
えっと・・・スノウさんがかなり手伝ってくれて、ほんとに有意義に楽しめてさ。」
「そ、そのスノウのことなんだけど・・・。
いや、ちょっと頼みがある。しばらく、また俺にキャラ貸してくれないか?」
「ああ、それはかまわないけど。
明日からは俺も、新作で忙しいしな。
おまえがやっておいてくれたら、助かるよ。
でも、おまえは魔術師の方が好きだったんじゃなかったのか?」
「ちょっと趣味が変わったというか、俺もバッタバッタと敵を倒したい気分になって・・・。」
「そうか。いいよ・・・2週間は忙しいから、適当にやっておいてくれ。
うん・・・じゃ、またな。」
「さて・・・と。さっきのパソコンの様子だともう一度はログインしそうだったな。よぉーし・・・。」
咲はグリーンアライブに流輝としてログインした。
予想どおり、スノウが内緒話チャットで話しかけてきた。
スノウ「こんばんわ。流輝さん。」
流輝「こんばんわ。手が痛いのはどう?」
スノウ「ぜんぜん大丈夫です・・・とは言えないんです。」
流輝「じつは、俺も手を痛めててね。
お互い無口ww」
スノウ「流輝さんも怪我しちゃったんですか?」
流輝「うん。でも指先じゃないから、まだ大丈夫だよ。
スノウさんは指先?つらそうだね。
無理はしないで。」
スノウ「ありがとう。流輝さん優しいね。
チャットは無口になっちゃうけど、レベル上げは連れていってくださいね。」
流輝「うん。しばらくは俺ががんばって話をするから、スノウさんは痛いのに無理しなくていいからね。
ごめん、そろそろ寝ないと朝が早くてね・・・。おやすみ」
スノウ「はい、また明日です。」
(流輝さんってほんとに優しいなぁ。いつも優しい言葉をかけてくれるけど、今日はとくに優しかったかな。いいことでもあったのかな。)
そして翌朝、雪美がリビングを通ろうとすると、剣山の入った花器に雪美が切り落とした花や茎を使ってきれいに生け花ができあがっていた。
「ママーーー!これってママが活けたの?」
「ううん、これはさっき咲くんが活けてくれたんだけど・・・。
彼ほんとにすごいわね。
おばあ様ゆずりだって話よ。さすが天才ね~」
(天才ってもんじゃない・・・。私が失敗して捨てちゃってたお花も、意味がないと思った茎も活き活きとつながってるし。
なんか・・・ここまでくると嫌味だよ。)
「久しぶりかな~・・・咲。
リハビリは順調か?おじさんには電話でお礼は言ったけど、近いうちにそっちに出向いて直接お礼を言いにいくつもりだ。
そのときに、俺の新作のスイーツをお土産に持っていくからな。」
「あのさ・・・じつは・・・兄さん。
ネットゲーでレベル上げたか?」
「お!おお~。初めて休暇もらえたときにがんばって上げたよ。
えっと・・・スノウさんがかなり手伝ってくれて、ほんとに有意義に楽しめてさ。」
「そ、そのスノウのことなんだけど・・・。
いや、ちょっと頼みがある。しばらく、また俺にキャラ貸してくれないか?」
「ああ、それはかまわないけど。
明日からは俺も、新作で忙しいしな。
おまえがやっておいてくれたら、助かるよ。
でも、おまえは魔術師の方が好きだったんじゃなかったのか?」
「ちょっと趣味が変わったというか、俺もバッタバッタと敵を倒したい気分になって・・・。」
「そうか。いいよ・・・2週間は忙しいから、適当にやっておいてくれ。
うん・・・じゃ、またな。」
「さて・・・と。さっきのパソコンの様子だともう一度はログインしそうだったな。よぉーし・・・。」
咲はグリーンアライブに流輝としてログインした。
予想どおり、スノウが内緒話チャットで話しかけてきた。
スノウ「こんばんわ。流輝さん。」
流輝「こんばんわ。手が痛いのはどう?」
スノウ「ぜんぜん大丈夫です・・・とは言えないんです。」
流輝「じつは、俺も手を痛めててね。
お互い無口ww」
スノウ「流輝さんも怪我しちゃったんですか?」
流輝「うん。でも指先じゃないから、まだ大丈夫だよ。
スノウさんは指先?つらそうだね。
無理はしないで。」
スノウ「ありがとう。流輝さん優しいね。
チャットは無口になっちゃうけど、レベル上げは連れていってくださいね。」
流輝「うん。しばらくは俺ががんばって話をするから、スノウさんは痛いのに無理しなくていいからね。
ごめん、そろそろ寝ないと朝が早くてね・・・。おやすみ」
スノウ「はい、また明日です。」
(流輝さんってほんとに優しいなぁ。いつも優しい言葉をかけてくれるけど、今日はとくに優しかったかな。いいことでもあったのかな。)
そして翌朝、雪美がリビングを通ろうとすると、剣山の入った花器に雪美が切り落とした花や茎を使ってきれいに生け花ができあがっていた。
「ママーーー!これってママが活けたの?」
「ううん、これはさっき咲くんが活けてくれたんだけど・・・。
彼ほんとにすごいわね。
おばあ様ゆずりだって話よ。さすが天才ね~」
(天才ってもんじゃない・・・。私が失敗して捨てちゃってたお花も、意味がないと思った茎も活き活きとつながってるし。
なんか・・・ここまでくると嫌味だよ。)