バーチャルウォーズ
その日、雪美は華道部の練習中にとうとうブチ切れてしまった。
松永がなだめようとしたが、雪美はどうしても朝の咲が活けた花が頭に浮かんでやる気がしなくなってしまったのだった。
「すみません、私もう・・・できません。」
「どうしちゃったんでしょう。松永先輩・・・」
「ん~~スランプっぽいね。しばらく様子見るしかないね。」
雪美は教室を出て、靴箱へと向かう途中、輝人に咲とテニスで対戦するから見学に来るように言われたが、黙ったまま無視して帰宅してしまった。
夕飯の前に、咲が雪美にどうして何もせずに帰ってしまったのか理由をきいたが、雪美は咲に目をあわせることもせず、部屋にこもってしまった。
(おばさんの話では、俺が活けた花を見てから様子が変だったときいたが・・・雪美の気を悪くさせたのが俺なら、松永たちにも謝らねばならないしなぁ。)
雪美はいつものように、ネットゲームを始めたがイライラする気持ちのせいで誰かとチャットをする気にはなれなくて、すぐにログアウトしようとしたそのとき、流輝から個人のチャットが流れてきた。
流輝「なんか様子が変だから、気になって。
何か悩み事?聞くことくらいしかできないけど、話せば少し楽になるんじゃないかい?」
スノウ「流輝さんって器用な人ですか?
私は不器用なんです。部活で大きな大会があって・・・文化部なんですけどね。
物を作って出品するんです。
でも、何度作ってもろくなのができなくて、落ち込んでしまって。」
流輝「そういうことは誰にでもあると思うけどね。」
スノウ「私もあると思うけど、私のはあまりにひどくて、何度も何度もやり直しても思うものができないのに、同じ学校の部活してない人が簡単にすごい作品を作ってしまったのを見て、つくづく自分がバカに思えてきて。」
流輝「スノウさんはバカじゃないです。
いつもいいところでサポートしてくれるじゃないですか。
タイミングも自分ではなくて俺の方に合わせようと気配りもしてくれてるでしょう?
俺すっごく助かってるし、スノウさんは頭いいんだなって感心させられたよ。」
スノウ「それはゲームにちょっと慣れてるだけだから。
でも、現実で必要なことにはあてはまらないですよ。
他人へ気配りなんてとてもできないし、自分だけでいっぱいなのに、それすらできなくて指を怪我ばかりして、へこんじゃってるところにこれみよがしに天才的なところを見せられると、ショックですよね。
私の被害妄想なのかもしれないけど、できる人のそういうおせっかい大嫌いです。」
流輝「その天才的な人に何か言われたの?」
スノウ「いいえ。だけど、その人は貧しくて苦学してて、頼れるのは自分の知識と技のみで生きてるような人で、それに比べて私はいろいろ与えられて育ってて、他の人のアドバイスなしでは生きられない子に育っちゃって。
でも、物のあるなしじゃなくて努力するかしないかだと割り切ってがんばってたつもりだったんです。
なのに何の予告もなしにこれでどうだ!みたいなことされてて、もう前に進めないって思いました。」
流輝「そんな・・・!」
スノウ「しかも、その人は最近、肘を手術して腕のリハビリしている人なんです。
手が思うように動かないですって人に手が自由に動くはずの私が負けてるなんて悲しすぎますよね。」
流輝「あ、あのさ。余計なことかもしれないけど、そんな腕の人がこれみよがしになんて考えるかなぁ?
思うように動かない腕でわざわざ君に見せるようにしたのには理由があるんじゃないかと俺なら思うけどね。」
スノウ「理由ですか?そうかもしれないけど・・・聞きたくないです。」
流輝「どうして?」
松永がなだめようとしたが、雪美はどうしても朝の咲が活けた花が頭に浮かんでやる気がしなくなってしまったのだった。
「すみません、私もう・・・できません。」
「どうしちゃったんでしょう。松永先輩・・・」
「ん~~スランプっぽいね。しばらく様子見るしかないね。」
雪美は教室を出て、靴箱へと向かう途中、輝人に咲とテニスで対戦するから見学に来るように言われたが、黙ったまま無視して帰宅してしまった。
夕飯の前に、咲が雪美にどうして何もせずに帰ってしまったのか理由をきいたが、雪美は咲に目をあわせることもせず、部屋にこもってしまった。
(おばさんの話では、俺が活けた花を見てから様子が変だったときいたが・・・雪美の気を悪くさせたのが俺なら、松永たちにも謝らねばならないしなぁ。)
雪美はいつものように、ネットゲームを始めたがイライラする気持ちのせいで誰かとチャットをする気にはなれなくて、すぐにログアウトしようとしたそのとき、流輝から個人のチャットが流れてきた。
流輝「なんか様子が変だから、気になって。
何か悩み事?聞くことくらいしかできないけど、話せば少し楽になるんじゃないかい?」
スノウ「流輝さんって器用な人ですか?
私は不器用なんです。部活で大きな大会があって・・・文化部なんですけどね。
物を作って出品するんです。
でも、何度作ってもろくなのができなくて、落ち込んでしまって。」
流輝「そういうことは誰にでもあると思うけどね。」
スノウ「私もあると思うけど、私のはあまりにひどくて、何度も何度もやり直しても思うものができないのに、同じ学校の部活してない人が簡単にすごい作品を作ってしまったのを見て、つくづく自分がバカに思えてきて。」
流輝「スノウさんはバカじゃないです。
いつもいいところでサポートしてくれるじゃないですか。
タイミングも自分ではなくて俺の方に合わせようと気配りもしてくれてるでしょう?
俺すっごく助かってるし、スノウさんは頭いいんだなって感心させられたよ。」
スノウ「それはゲームにちょっと慣れてるだけだから。
でも、現実で必要なことにはあてはまらないですよ。
他人へ気配りなんてとてもできないし、自分だけでいっぱいなのに、それすらできなくて指を怪我ばかりして、へこんじゃってるところにこれみよがしに天才的なところを見せられると、ショックですよね。
私の被害妄想なのかもしれないけど、できる人のそういうおせっかい大嫌いです。」
流輝「その天才的な人に何か言われたの?」
スノウ「いいえ。だけど、その人は貧しくて苦学してて、頼れるのは自分の知識と技のみで生きてるような人で、それに比べて私はいろいろ与えられて育ってて、他の人のアドバイスなしでは生きられない子に育っちゃって。
でも、物のあるなしじゃなくて努力するかしないかだと割り切ってがんばってたつもりだったんです。
なのに何の予告もなしにこれでどうだ!みたいなことされてて、もう前に進めないって思いました。」
流輝「そんな・・・!」
スノウ「しかも、その人は最近、肘を手術して腕のリハビリしている人なんです。
手が思うように動かないですって人に手が自由に動くはずの私が負けてるなんて悲しすぎますよね。」
流輝「あ、あのさ。余計なことかもしれないけど、そんな腕の人がこれみよがしになんて考えるかなぁ?
思うように動かない腕でわざわざ君に見せるようにしたのには理由があるんじゃないかと俺なら思うけどね。」
スノウ「理由ですか?そうかもしれないけど・・・聞きたくないです。」
流輝「どうして?」