バーチャルウォーズ
放課後、雪美がテニスコートへ行くと、たくさんの人だかりができていた。
ボールの音1回1回に完成が上がっていた。
「えっと・・・どっちが勝ってるのかな・・・っと?
「菅野だよ。いくらリハビリだとは言っても、高2までは圧倒的な強さを誇っていたやつなんだからな。」
雪美にそう答えたのは副会長の中井だった。
「中井先輩も応援ですか?」
「応援っていうか、見物だけど。
あ~~~1年じゃ無理だな。」
高井を含めて、1年生部員はみんな咲を苦しめるようなプレイはできなかったが、2年が続いて対戦しようとしたのを制して、輝人が咲の相手をしたいと言いだした。
「おぉ!井坂大人げない・・・。いや、熱い!かな。
新しい顧問もここで負けると、面白いことになるだろうなぁ。」
「て・・・じゃなくて井坂先生もテニスには自信あるって聞きましたけど。
「確かにそうみたいだね・・・。菅野がちょっときつい顔してる。」
「えっ?」
輝人と咲の練習試合が始まって、いきなり2人の打ち合いになった。
どちらも打ち返しにくい球、きびしいコース狙いなのに追いついては打ち返している。
ところが、試合が始まって10分ほどして輝人の一方的な試合となっていった。
「そろそろ腕がやばいんじゃないかな・・・。」
中井の言葉に雪美は咲の様子が心配になってきた。
(ほんとだ・・・咲の笑顔がわざとらしすぎる!)
あっという間に輝人が咲にストレートに勝って終わった。
咲は笑顔でコートをおりていったがその後、咲の姿を他の生徒は見なかった。
中井や松永が心配しているのを見て、雪美も学校内を歩いてみた。
3年生の教室や思い当たる場所を見たが、咲の姿はない。
雪美はあきらめて自分の教室で荷物を取って帰ろうとすると、雪美のクラスの窓からテニスコートを眺めている咲が立っていた。
「どうしてうちの教室にいるんですか?
先輩たちみんな捜していたようですよ。」
「予想していたとはいえ、散々だったからね。
みんなの前でへこみたくはなかったし・・・。
教室閉めておくから、帰っていいよ。」
「いっしょに帰りませんか。」
「俺と並ぶのは嫌なんだろう?」
「今日は特別!それに・・・聞きたいこともあって。」
「聞きたいこと?」
「どうして、この前の朝、生け花なんてしたんですか?
とても上手でびっくりしました。それに・・・ちょっとショックだった。」
「ああ。あれはばあちゃんがアパートの玄関によく生花を置いていたから。
小さい頃から教えてもらってた。
無理に高価な花を用意しなくても、季節のそこに手が届くもので飾ればいいんだってよく言ってたんだ。
今日の私の気持ちはこんな感じだよ~って表せば、見た人が楽しんだり、慰めてくれたり、叱咤激励してくれたりするって。
難しいこと考えなくていいんじゃないかなって思って用意したんだけど・・・余計なことだったみたいで。ごめん・・・。」
「そ、そうだったんですか。いえ、私バカだからわかんなくて・・・。
自分のことばかり考えて、花のメッセージも心に届かなかったんですね。
私の方こそごめんなさい。」
ボールの音1回1回に完成が上がっていた。
「えっと・・・どっちが勝ってるのかな・・・っと?
「菅野だよ。いくらリハビリだとは言っても、高2までは圧倒的な強さを誇っていたやつなんだからな。」
雪美にそう答えたのは副会長の中井だった。
「中井先輩も応援ですか?」
「応援っていうか、見物だけど。
あ~~~1年じゃ無理だな。」
高井を含めて、1年生部員はみんな咲を苦しめるようなプレイはできなかったが、2年が続いて対戦しようとしたのを制して、輝人が咲の相手をしたいと言いだした。
「おぉ!井坂大人げない・・・。いや、熱い!かな。
新しい顧問もここで負けると、面白いことになるだろうなぁ。」
「て・・・じゃなくて井坂先生もテニスには自信あるって聞きましたけど。
「確かにそうみたいだね・・・。菅野がちょっときつい顔してる。」
「えっ?」
輝人と咲の練習試合が始まって、いきなり2人の打ち合いになった。
どちらも打ち返しにくい球、きびしいコース狙いなのに追いついては打ち返している。
ところが、試合が始まって10分ほどして輝人の一方的な試合となっていった。
「そろそろ腕がやばいんじゃないかな・・・。」
中井の言葉に雪美は咲の様子が心配になってきた。
(ほんとだ・・・咲の笑顔がわざとらしすぎる!)
あっという間に輝人が咲にストレートに勝って終わった。
咲は笑顔でコートをおりていったがその後、咲の姿を他の生徒は見なかった。
中井や松永が心配しているのを見て、雪美も学校内を歩いてみた。
3年生の教室や思い当たる場所を見たが、咲の姿はない。
雪美はあきらめて自分の教室で荷物を取って帰ろうとすると、雪美のクラスの窓からテニスコートを眺めている咲が立っていた。
「どうしてうちの教室にいるんですか?
先輩たちみんな捜していたようですよ。」
「予想していたとはいえ、散々だったからね。
みんなの前でへこみたくはなかったし・・・。
教室閉めておくから、帰っていいよ。」
「いっしょに帰りませんか。」
「俺と並ぶのは嫌なんだろう?」
「今日は特別!それに・・・聞きたいこともあって。」
「聞きたいこと?」
「どうして、この前の朝、生け花なんてしたんですか?
とても上手でびっくりしました。それに・・・ちょっとショックだった。」
「ああ。あれはばあちゃんがアパートの玄関によく生花を置いていたから。
小さい頃から教えてもらってた。
無理に高価な花を用意しなくても、季節のそこに手が届くもので飾ればいいんだってよく言ってたんだ。
今日の私の気持ちはこんな感じだよ~って表せば、見た人が楽しんだり、慰めてくれたり、叱咤激励してくれたりするって。
難しいこと考えなくていいんじゃないかなって思って用意したんだけど・・・余計なことだったみたいで。ごめん・・・。」
「そ、そうだったんですか。いえ、私バカだからわかんなくて・・・。
自分のことばかり考えて、花のメッセージも心に届かなかったんですね。
私の方こそごめんなさい。」