バーチャルウォーズ
突然の同居人
雪美の夢の中・・・・・。
『スノウさんはザコ中心に倒して。俺は強い方倒すから、余裕があったら回復魔法よろ~』
『はい。流輝さんに守ってもらえてほんとに助かります。』
『よし、全部敵はやっつけた。
スノウさん、次の場所行く前に飲み物とってくるとかトイレ行くとかしておくといいよ。』
『うん。何かとってきますね。』
『流輝さんは何か飲みながらゲームしてるんですか?』
『貧乏学生だからお茶ともらいもののお菓子。
サラリーマンとか言った方がよかったかな。』
『ううん、私も女子高生だからそんなに違わないかも。』
『そっか、リアルもそんなに変わらないんだったらガキ扱いされずにすみそうだ^^』
『そんなぁ。流輝さんはすごくしっかりしててギルドのみんなも尊敬してますよ~ 私なんか頼りっぱなしだし。』
『そういってもらえるとうれしいな。
スノウ、これからずっと俺を支えて。そばにいてほしい。
俺もずっと君を守るから。好きだよ、スノウ。』
(うふふふふふふ・・・もう、流輝さんったら・・・そんなに赤くなりながら言わないで。はずかしい・・・。私も好きっ・・・きゃっ。)
現実に引き戻されたのは、朝鳴り響く目覚まし時計の音だった・・・。
あわてて準備をして、朝食を食べるために食卓に座ると、両親から気まずい空気が流れてきた。
「雪美・・・じつはね・・・」
雪美は思わず、父が母との離婚を言いだすのではないかと思い、
「私は嫌よ、私はどんな家でもどんなに貧乏でもお父さんとお母さんといっしょに生きて生きたいの。
誰かが欠けちゃいけないの!」
「そうか・・・。どこでも家族でいれば問題ないんだな。それはよかった。」
「えっ!?!!!!!???なに?」
「じつはね、お父さんが昔とてもお世話になった人が今週心臓発作で急に亡くなられてしまったの。」
「その人は以前、学生相手の下宿屋を営んでいたんだが、父さんが学生の時の命の恩人といっていい人なんだ。
両親が・・・おまえのおじいさんとおばあさんがな、交通事故で亡くなってただでさえ、けっこう苦学生だった父さんはほんとに途方にくれた。
バイトの帰り道、歩きながら腹が減って倒れてしまったところを助けてくれてな、部屋をタダで住まわせてくれて、学費も貸してくれたんだよ。
で、もう下宿屋もないし、不景気でほそぼそと生計をたててたようなんだが、高校生のお孫さんがいっしょに住んでいたようで・・・。
父さんな、その子を引き取って今より大きな家に住み替えようかと思ったんだ。」
「高校生って何年生なの?」
「3年男子らしい。でもな、その子の兄が洋菓子店で修業して働いているとかで、学費は兄の収入と本人のアルバイトと奨学金でいけそうなんだと。
生活費と住居費を1年ちょい援助してやれば、その後はひとり暮らししたいそうなんでな・・・それで・・・。
頼む、雪美・・・父さんに恩返しさせてくれないだろうかな。」
「大きな家ってことは私の部屋はあるの?」
「もちろん!まぁ食事時にいっしょにいるときはダイニングでいっしょに食事してもらいたいけどね。」
「わかったわ。1年くらいなら我慢する。」
「すまんな。ありがとう・・・いい娘をもって父さんはうれしい。」
「もう、お父さんったら・・・。調子よすぎ。」