バーチャルウォーズ
1か月後、雪美は咲に励まされながらリハビリを続け、体力的には事故に遭う前に近いほど回復した。
学校にも通うようになり、はじめはクラスメイトや先輩たちも高校より過去がない人はショックを受けていたが、高校生活をリセットしただけだと皆が元気づけてくれたおかげで雪美の不安もだんだん薄れていくのだった。
しかし、夜になると片頭痛が雪美を苦しめ始め、咲と輝人も心を痛めていた。
「おい、いるかぁ~?」
「開いてますよ。」
「なぁ、学校では雪美のやつ頭痛の症状は出てないんだよな。」
「ええ。雪美のクラスのコにきいても、クラブでも生徒会でも頭痛で苦しんでいたという目撃談はないですね。」
「どうして、家でだけ・・・それも夜に苦しみだすんだろうな。」
「医者にきいても、検査で見える部分では彼女はもう完治しているそうなんですけど・・・いっこうに記憶がもどらない。
ひっかかるのは、あの事故に遭った日・・・事故の前に何があったか?
たぶん、そこに心のトラウマみたいなものができるきっかけがあったんだと俺は読んでますけど・・・。」
「そうだな。あのとき、おまえの携帯に助けてと残して、その後で俺のとこに電話してきた。
俺が出たときには、雪美は電話を持ってはいたが、耳につけてはいなかった。
助けを求める声、悲痛な叫びが聞こえてきて、追いかけてきた犯人の声でも聞こえないかと耳をすませたけど、それもなかった。
だけど誰かが雪美を追った。でも・・・何か変な気がする・・・」
「変って?」
「俺なりに調べたんだがな。婦女暴行やわいせつ事件に遭った女性は、後々男に対して恐怖心がわくよな。
けど・・・雪美は俺たちをいい意味で意識してくれてるようだと思わないか?
俺なんか未遂事件・・・っぽいのがあるから、ものすごく恐れられてもいいんじゃないかと思ったりしてさ。」
「そうだったなぁ。先生は力づくで嫁になる返事を迫ったんだっけ。」
「お、おい。俺は体目的じゃないんだ。
本気で、身も心も欲しかった。社会人になるまでけっこう捜したし、それまで雪美を忘れた方がいいんじゃないのかって何人かの女と付き合ったりもしたけどあきらめる要素が決定的じゃないから、新しい恋愛なんてまるでできずに・・・。」
「あんた見た目ほどチャラいわけじゃなかったんだな。
じゃあ、俺が引導を渡してやる。
俺は雪美と相思相愛になって全裸で抱き合う仲になった。」
「なっ!・・・冗談だろ。いつのまに・・・。」
「祭りのあとにね。けど、彼女はバージンだ。」
「そんなもん、信用できるか!おまえ・・・」
「俺は食いとどまった。これはあんたには秘密にしておきたかったことだけど、今はあんたと手を組む必要がありそうだから、ほんとのことを言った。
俺には雪美の両親に恩があるし、今の俺がいちばん卑劣な手で彼女を手にいれるなんてできない。
大学行って、おじさんみたいな社長になって堂々と雪美と家族まるごと俺の家族になってもらいたいと思っているから勉強してる。」
「硬派だねぇ。まぁ、おまえの話が嘘じゃないことは理解した。
かなりムカついてショックだけどな・・・。
はぁ・・・雪美がおまえをねぇ・・・やっぱりそういうことか。
あいつは昔から、表向きは筋肉モリモリででかい男が大好きだとかいいながら、おまえみたいなちょっと線の細いインテリでそれでいてけんかの強いきれいなタイプを目で追ってたからなぁ。」
「お、・・・・先生は今、俺みたいなヤツを雪美が目で追っていたと言ったな。
雪美が小さい頃に俺みたいなやつと接触があったのか?」
「詳しくはわからないんだけどな。雪美と遊んでやろうと思って家にいったらひとりでどこかに出かけてたって日があってな。
結衣子さんにきいてもわからないというし、雪美と同じ年前後のやつらにきいてまわったら、デートだと言われた。
雪美が帰ってきて、俺は誰と遊んでいたのか問い詰めたけど、うれしそうな素振りではぐらかされてばかりだった。」
学校にも通うようになり、はじめはクラスメイトや先輩たちも高校より過去がない人はショックを受けていたが、高校生活をリセットしただけだと皆が元気づけてくれたおかげで雪美の不安もだんだん薄れていくのだった。
しかし、夜になると片頭痛が雪美を苦しめ始め、咲と輝人も心を痛めていた。
「おい、いるかぁ~?」
「開いてますよ。」
「なぁ、学校では雪美のやつ頭痛の症状は出てないんだよな。」
「ええ。雪美のクラスのコにきいても、クラブでも生徒会でも頭痛で苦しんでいたという目撃談はないですね。」
「どうして、家でだけ・・・それも夜に苦しみだすんだろうな。」
「医者にきいても、検査で見える部分では彼女はもう完治しているそうなんですけど・・・いっこうに記憶がもどらない。
ひっかかるのは、あの事故に遭った日・・・事故の前に何があったか?
たぶん、そこに心のトラウマみたいなものができるきっかけがあったんだと俺は読んでますけど・・・。」
「そうだな。あのとき、おまえの携帯に助けてと残して、その後で俺のとこに電話してきた。
俺が出たときには、雪美は電話を持ってはいたが、耳につけてはいなかった。
助けを求める声、悲痛な叫びが聞こえてきて、追いかけてきた犯人の声でも聞こえないかと耳をすませたけど、それもなかった。
だけど誰かが雪美を追った。でも・・・何か変な気がする・・・」
「変って?」
「俺なりに調べたんだがな。婦女暴行やわいせつ事件に遭った女性は、後々男に対して恐怖心がわくよな。
けど・・・雪美は俺たちをいい意味で意識してくれてるようだと思わないか?
俺なんか未遂事件・・・っぽいのがあるから、ものすごく恐れられてもいいんじゃないかと思ったりしてさ。」
「そうだったなぁ。先生は力づくで嫁になる返事を迫ったんだっけ。」
「お、おい。俺は体目的じゃないんだ。
本気で、身も心も欲しかった。社会人になるまでけっこう捜したし、それまで雪美を忘れた方がいいんじゃないのかって何人かの女と付き合ったりもしたけどあきらめる要素が決定的じゃないから、新しい恋愛なんてまるでできずに・・・。」
「あんた見た目ほどチャラいわけじゃなかったんだな。
じゃあ、俺が引導を渡してやる。
俺は雪美と相思相愛になって全裸で抱き合う仲になった。」
「なっ!・・・冗談だろ。いつのまに・・・。」
「祭りのあとにね。けど、彼女はバージンだ。」
「そんなもん、信用できるか!おまえ・・・」
「俺は食いとどまった。これはあんたには秘密にしておきたかったことだけど、今はあんたと手を組む必要がありそうだから、ほんとのことを言った。
俺には雪美の両親に恩があるし、今の俺がいちばん卑劣な手で彼女を手にいれるなんてできない。
大学行って、おじさんみたいな社長になって堂々と雪美と家族まるごと俺の家族になってもらいたいと思っているから勉強してる。」
「硬派だねぇ。まぁ、おまえの話が嘘じゃないことは理解した。
かなりムカついてショックだけどな・・・。
はぁ・・・雪美がおまえをねぇ・・・やっぱりそういうことか。
あいつは昔から、表向きは筋肉モリモリででかい男が大好きだとかいいながら、おまえみたいなちょっと線の細いインテリでそれでいてけんかの強いきれいなタイプを目で追ってたからなぁ。」
「お、・・・・先生は今、俺みたいなヤツを雪美が目で追っていたと言ったな。
雪美が小さい頃に俺みたいなやつと接触があったのか?」
「詳しくはわからないんだけどな。雪美と遊んでやろうと思って家にいったらひとりでどこかに出かけてたって日があってな。
結衣子さんにきいてもわからないというし、雪美と同じ年前後のやつらにきいてまわったら、デートだと言われた。
雪美が帰ってきて、俺は誰と遊んでいたのか問い詰めたけど、うれしそうな素振りではぐらかされてばかりだった。」