バーチャルウォーズ
咲は雪美のキャラのスノウを動かしながらため息をついていた。
「俺がスノウになってもなぁ・・・。
こういうゲームはあんまり好きだったわけじゃないし。」
雪美の動きをまねることも注意しないと!と思いながら先へ先へと冒険せずときどき放置して動きを止めていると・・・。
流輝「こんばんわ~ 久しぶりだね。」
(来たっ!ここからが肝心だ。ログアウトされた場合でも改心してもらう方向で押さないと。
それが身内の俺にできる唯一のこと。)
スノウ「えっと・・・すみません、お名前はなんとなく記憶にあるみたいなんですけど、私じつは今、記憶を失っていて、流輝さんと何をやっていたのか覚えていないんです。」
流輝「そんなことぜんぜん平気だよ。
スノウさん、俺が好きだよな。」
スノウ「はい。」
流輝「スノウさん、俺も好きだ。愛してるよ。
早くまたリアルで会いたいね。」
スノウ「会いたいです。」
流輝「スノウさん、明日学校終わったら店の裏口に来てほしい。
俺はもう早く君に逢いたくて仕方がないんだ。
でも、今ちょっと持ち合わせがなくてね、君の快気祝いをしたいと思ってるんだけど今回だけ貸しておいてほしい。
そのかわり、とても楽しいところに連れていってあげるから。」
(これは・・・。なんて卑劣なまねをするつもりだ!
これじゃ、ここで何をいってもだめだな。
それなら!)
スノウ「お金を持っていけばいいんですね。
楽しいとこってどこですか?」
流輝「場所は明日のお楽しみさ。
スノウさん、お金よりも通帳と印鑑とカードを持ってきてもらった方がいい。
いつ、どれだけ使ったかわかる方があとで返しやすいから。」
スノウ「わかりました。」
流輝「スノウさん、明日、学校を出るときにでも電話して。
裏口で待ってるから。
2人きりで今度こそ、愛し合おうね。」
スノウ「はい。」
流輝「じゃ、今夜はおちるね。また明日。」
(ふぅ・・・俺だとは気付かれなかったな。
明日、待ち合わせか。それにしても嫌な言葉を見せられた。
しかも俺の知らない過去の・・・そんな頃に杭を打ち込んでおいたなんて。
俺の容姿と声のせいで、ああなったんだったとしたら・・・。
俺は兄さんの身代わりでしかない。)
咲は雪美の部屋へ行って中の様子を見ると、雪美が咲の顔を見て驚いている様子だった。
「あ・・・いや・・・ああーーー!うっ・・・ううう。」
「ごめん、俺すぐに出るわ。」
「咲はここに居てくれ!もうすぐ、悪魔祓い終わるから。
キーワードの言葉を咲の声で言ってみて。」
「わかった。スノウさん・・・。」
「さ・・・き・・・。咲どこにいるの?」
「よし、成功だ。咲、本物のおまえを呼んでいる。返事をしてやれ。」
「俺はここにいる。雪美・・・俺がわかる?
お世話係の・・・」
「お世話係って何?咲・・・どうしてみんなで私の部屋にいるの?
私、さっき風船がパンッって音がなった気がして・・・。
そしたら咲がここに・・・?」