バーチャルウォーズ
雪美は3年生で男っていうと・・・と少し想像してみた。
(どんな人なのかな。
松永先輩みたいにおっきくって力持ちで優しい人だったらいいのになぁ。)
生徒会の仕事も担当が決まった後はゴールデンウィーク明けまでとくになく、
雪美はつまらなく思っていた。
そんなとき、靴を履きかえて帰宅しようとしていると生徒会長の菅野咲が暗い表情をしながら歩くのが見えた。
(会長どうしちゃったんだろう。顔色悪いし、暗い表情。少しやせた感じもする・・・。)
後を少しつけると、咲の足元がふらついてとうとう地面にひざを着いてしまった。
「先輩!どこか具合が悪いんですか?」
雪美が思わず駆け寄ると、咲は顔を背けるようにしている。
ぎゅる・・・ぐう・・・ぐぐぐ・・・
「あれれ?先輩・・・もしかしてお腹すいてるんですか。
あ、じゃあ私この先のコンビニでおにぎりとか何か買ってきます。
そこで座っててください。」
「お、おい・・・そんな・・・。」
公園のベンチに座って咲は雪美が買ってきた弁当やサンドイッチ、サラダ、デザートをすべてたいらげた。
「ごめん・・・こんなにしてもらって。
明後日引っ越すことになって、いろいろ準備してたら兄にもらったお金を使い果たしてしまって。
必ず返すから・・・ありがとう。」
「菅野先輩はご兄弟で生活しておられるんですか?」
「いや、兄は住み込みで働いてて・・・。
まぁ引っ越しが終われば、まぁまぁ人間らしい暮らしはできると思うんだけどね。」
「そうですか・・・。じつはうちも引っ越しで、前より広いお家に住めるんです。
これから帰って運び込まれた荷物を開けなきゃいけないんです。
では、元気出してくださいね。
ご飯代はほんとにいつでもいいですからね~」
雪美は帰宅するとそそくさとまずパソコンを使えるようにセットしてゲームにログインした。
「あれ、流輝さんまたログインしてないわ。
忙しいのかな。まぁ、私も昨日ログインしてなかったから・・・いろいろと予定くらいあるよね。」
そして、翌々日雪美は自宅の玄関で息をのんでしまうだった。
「せ、先輩が・・・同居人の高校生!!!!」
「浅岡って・・・そうか。君の新しい家だったのか。」
「まあまあ・・・菅野咲くんね。いらっしゃい。
今日からあなたの家でもあるんですからゆったり暮らしてね。
あなたのお部屋は2階の一番手前よ。
早速、2人とも手を洗ってきてちょうだい。
咲くん歓迎のケーキを作ったの。
少しお話しながらお茶をしましょうよ。」
「は、はい・・・。」
「う、うん・・・。」