バーチャルウォーズ
それから、咲は進路相談ではっきりと留学への道を選ぶことを決定し、やがて卒業式がやってきた。
雪美はこの日が来るのを待ち遠しくもあり、来てほしくないのもあって複雑な気持ちだった。
しかも、卒業式当日は学校で雪美が咲に近づくことすらできなかった。
ため息をつきながら、帰宅して、夜になってからやっと咲と顔を合わせることができた。
「なんか、冬はずっと避けられてたみたいだったね。」
「そんなつもりはなかったんだけど・・・。」
「ほったらかしにしたら、輝人さんとこに行っちゃうんだからね。
なんて・・・。」
「雪美がそうしたいなら・・・。」
「ひどいよ。そんなの・・・そんなの。」
「あ゛ーーーーー!もうめんどくさい女だぁ。
雪美に近づいたら、俺は普通でいられないだろう!」
咲はそういいながら、雪美を自室に放り込むと床に押し倒した。
「ベッドまでも待てないんだからなっ!
飢えたオオカミになってしまうんだから・・・。
他の男なんて見る気もなくさせてやる。」
そういった咲は雪美に何度もキスをした。
唇、首筋・・・胸・・・体のあちこちに印をつけるように。
「俺の妻にふさわしい女になっておくこと。いいね。」
「そんな横暴な・・・。」
「横暴でもなんでも、命令する。
愛してる気持ちは俺にかわって流輝が言うから。」
「へっ?だって・・・あのキャラってお兄さんの?」
「流輝がいなくなったら困る人が多いだろう?
だから、パスワードを変更して俺が流輝になるから。
嫌かな?」
「ううん、咲の流輝なんて、すごい楽しみだよ。」
「うそっ、咲は大嫌いだって言ってたくせに。」
「なんでそんなこと・・・?まさか・・・まさかあのときの流輝さんって咲だったの?」
「ふふふ。どうかなぁ・・・。あはははは」
「ひ、ひどいわ。私に内緒でそんなの、いつといつが咲だったのよ。」
「俺の悪口を言ったときだけだよ。
けっこうショックだったなぁ。」
「そ、そんなの・・・そんなのないわ。
私は、私は・・・流輝さんじゃなくて咲を愛してしまったの。
咲じゃなきゃ!」
「わかったわかった・・・。あははは。うれしいよ。
たくさんは時間とれないけど、頻繁にログインすることにするよ。」
雪美は咲が出発するまで、いつもと変わらなく生活をして、いつも出かけるときのように、いってらっしゃいを言った。
ただ、いつもと違うのは帰宅してから涙が止まらなかったくらいのことで。
雪美の両親と輝人も結局、夏休みまで咲のことは言葉にしなかった。
夏休み前になって、輝人に転勤の辞令がでて、輝人も家を出ていくことになった。
「はぁ~、雇われてるってのはつらいなぁ。
せっかく雪美と暮らせるようになってこれからだっていうのに・・・。
咲と竹井の言ってた通りになっちまったな。
今度は島の中の小さな学校だ。」
「輝人さん、子どもの頃からずっとありがとう。」
「何言ってるんだ!それが俺たちの運命だったんだから、そうあらたまって言われても困るんだよ。
それより・・・咲は休みにもどってくるのか?」
「うん、お盆の頃くらいらしいけど。」
「そっか。俺は次はいつ会えるかわからん。
でも、雪美の幸せはいつも祈ってるから。
それに連絡先は置いてくから、咲に捨てられたとか咲が嫌いになったとかあったら俺にちゃんと言うんだぞ。」
「うん・・・ありがと。そうする。ふふふ」
それから、雪美2年の夏休みには家族だけの住まいになった。
夜がとくに結衣子と2人だけで過ごすことになって、お互いが自分の時間を持ってしまうと家の中がさびしくなったとしかいえない状態だった。
雪美はこの日が来るのを待ち遠しくもあり、来てほしくないのもあって複雑な気持ちだった。
しかも、卒業式当日は学校で雪美が咲に近づくことすらできなかった。
ため息をつきながら、帰宅して、夜になってからやっと咲と顔を合わせることができた。
「なんか、冬はずっと避けられてたみたいだったね。」
「そんなつもりはなかったんだけど・・・。」
「ほったらかしにしたら、輝人さんとこに行っちゃうんだからね。
なんて・・・。」
「雪美がそうしたいなら・・・。」
「ひどいよ。そんなの・・・そんなの。」
「あ゛ーーーーー!もうめんどくさい女だぁ。
雪美に近づいたら、俺は普通でいられないだろう!」
咲はそういいながら、雪美を自室に放り込むと床に押し倒した。
「ベッドまでも待てないんだからなっ!
飢えたオオカミになってしまうんだから・・・。
他の男なんて見る気もなくさせてやる。」
そういった咲は雪美に何度もキスをした。
唇、首筋・・・胸・・・体のあちこちに印をつけるように。
「俺の妻にふさわしい女になっておくこと。いいね。」
「そんな横暴な・・・。」
「横暴でもなんでも、命令する。
愛してる気持ちは俺にかわって流輝が言うから。」
「へっ?だって・・・あのキャラってお兄さんの?」
「流輝がいなくなったら困る人が多いだろう?
だから、パスワードを変更して俺が流輝になるから。
嫌かな?」
「ううん、咲の流輝なんて、すごい楽しみだよ。」
「うそっ、咲は大嫌いだって言ってたくせに。」
「なんでそんなこと・・・?まさか・・・まさかあのときの流輝さんって咲だったの?」
「ふふふ。どうかなぁ・・・。あはははは」
「ひ、ひどいわ。私に内緒でそんなの、いつといつが咲だったのよ。」
「俺の悪口を言ったときだけだよ。
けっこうショックだったなぁ。」
「そ、そんなの・・・そんなのないわ。
私は、私は・・・流輝さんじゃなくて咲を愛してしまったの。
咲じゃなきゃ!」
「わかったわかった・・・。あははは。うれしいよ。
たくさんは時間とれないけど、頻繁にログインすることにするよ。」
雪美は咲が出発するまで、いつもと変わらなく生活をして、いつも出かけるときのように、いってらっしゃいを言った。
ただ、いつもと違うのは帰宅してから涙が止まらなかったくらいのことで。
雪美の両親と輝人も結局、夏休みまで咲のことは言葉にしなかった。
夏休み前になって、輝人に転勤の辞令がでて、輝人も家を出ていくことになった。
「はぁ~、雇われてるってのはつらいなぁ。
せっかく雪美と暮らせるようになってこれからだっていうのに・・・。
咲と竹井の言ってた通りになっちまったな。
今度は島の中の小さな学校だ。」
「輝人さん、子どもの頃からずっとありがとう。」
「何言ってるんだ!それが俺たちの運命だったんだから、そうあらたまって言われても困るんだよ。
それより・・・咲は休みにもどってくるのか?」
「うん、お盆の頃くらいらしいけど。」
「そっか。俺は次はいつ会えるかわからん。
でも、雪美の幸せはいつも祈ってるから。
それに連絡先は置いてくから、咲に捨てられたとか咲が嫌いになったとかあったら俺にちゃんと言うんだぞ。」
「うん・・・ありがと。そうする。ふふふ」
それから、雪美2年の夏休みには家族だけの住まいになった。
夜がとくに結衣子と2人だけで過ごすことになって、お互いが自分の時間を持ってしまうと家の中がさびしくなったとしかいえない状態だった。