バーチャルウォーズ
お盆がきて、雪美は咲がもどってくることを楽しみに待っていたが、結局メールがきて日本にもどれないということだった。
雪美にとっては納得がいかなくて仕方がなかったが、気の利く竹井から咲が必死に勉強にとりくんでいると連絡をうけて、雪美も咲のことをしばらく頭の中と心の中に封印することにした。
「私もがんばらなきゃ。連絡がとれないわけじゃないし・・・がんばらないと。だけど・・・。」
さびしい気持ちをまぎらわせたいと思っていた雪美に父の公男が自分の会社で夏休み中アルバイトをしてみないかと提案した。
工業部品の組み立てや包装作業のようなパートのおばさんがする仕事から事務の手伝いまで雪美は平日に労働することにした。
そんなある日のこと・・・会議室から10人ほどが出てきて、その中に長身で作業着が窮屈そうな男性が、数枚の紙を床に落としていた。
「あの、書類を落とされましたよ。」
「は・・・い?ワタシ・・・デスカ?」
「えっ!?外人さん・・・。い、いぇ・・・YESです。」
「くくっ雪美さんでしょ?すみません、ありがとうございマス。」
「ま、まぁ。日本語ペラペラだったんですね。
あの、この会社の人じゃないですよね。
その服だってきつそうだし・・・大きいサイズ用意しますからお昼休みにでもサイズを測らせてもらえますか?」
「あ、交換してもらえると助かります。
ワタシはマーク・ローウィーです。
ティーワークホールディングスから出向という形でここで働かせていただいています。
あ、アメリカに本社があるんですけどね。
あなたのことは知っています。社長がときどき話しますからね。」
「なっ・・・父がなんて言ってるんです。
やだぁ。私の知らない人にそんな何を言って・・・困るわ。」
「うちの娘は美人でかわいくて、頭もいい。
男が放っておくはずがないが、手厳しい女だからナンパなどしたらかみつかれて血を吸われて白骨化して放り出されるって。」
「え゛ぇぇぇぇーーーー!なんですか。それは!
それじゃ私が若い男性の生気を吸い取って生きてる妖怪みたいじゃない!」
「ぷっぷっ・・・あはははは。ウソです。
あなたのパパはそんなこと言ってません。
きれいで、かわいいからって気安く声をかけないでくれとだけです。」
「マークさん!」
「マークでいいよ。ワタシもユキミと呼びたいから。
いいですか?」
「はい。・・・・!あの・・・マークにお願いがあるの。」
「はい、よろこんで。何ですか?」
「私に英語を教えて。昼休みとか仕事が終わった後少しだけでいいの。
ダメかしら?」
「昼休みと夜は学校のない日はOKです。」
「学校?」
「日本語の学校。っていってもワタシは授業はもうマスターしていますからコミュニケーションの練習にだけ参加しています。」
「そうなの。マークの都合のいい時間で、よろしくお願いします。」
雪美にとっては納得がいかなくて仕方がなかったが、気の利く竹井から咲が必死に勉強にとりくんでいると連絡をうけて、雪美も咲のことをしばらく頭の中と心の中に封印することにした。
「私もがんばらなきゃ。連絡がとれないわけじゃないし・・・がんばらないと。だけど・・・。」
さびしい気持ちをまぎらわせたいと思っていた雪美に父の公男が自分の会社で夏休み中アルバイトをしてみないかと提案した。
工業部品の組み立てや包装作業のようなパートのおばさんがする仕事から事務の手伝いまで雪美は平日に労働することにした。
そんなある日のこと・・・会議室から10人ほどが出てきて、その中に長身で作業着が窮屈そうな男性が、数枚の紙を床に落としていた。
「あの、書類を落とされましたよ。」
「は・・・い?ワタシ・・・デスカ?」
「えっ!?外人さん・・・。い、いぇ・・・YESです。」
「くくっ雪美さんでしょ?すみません、ありがとうございマス。」
「ま、まぁ。日本語ペラペラだったんですね。
あの、この会社の人じゃないですよね。
その服だってきつそうだし・・・大きいサイズ用意しますからお昼休みにでもサイズを測らせてもらえますか?」
「あ、交換してもらえると助かります。
ワタシはマーク・ローウィーです。
ティーワークホールディングスから出向という形でここで働かせていただいています。
あ、アメリカに本社があるんですけどね。
あなたのことは知っています。社長がときどき話しますからね。」
「なっ・・・父がなんて言ってるんです。
やだぁ。私の知らない人にそんな何を言って・・・困るわ。」
「うちの娘は美人でかわいくて、頭もいい。
男が放っておくはずがないが、手厳しい女だからナンパなどしたらかみつかれて血を吸われて白骨化して放り出されるって。」
「え゛ぇぇぇぇーーーー!なんですか。それは!
それじゃ私が若い男性の生気を吸い取って生きてる妖怪みたいじゃない!」
「ぷっぷっ・・・あはははは。ウソです。
あなたのパパはそんなこと言ってません。
きれいで、かわいいからって気安く声をかけないでくれとだけです。」
「マークさん!」
「マークでいいよ。ワタシもユキミと呼びたいから。
いいですか?」
「はい。・・・・!あの・・・マークにお願いがあるの。」
「はい、よろこんで。何ですか?」
「私に英語を教えて。昼休みとか仕事が終わった後少しだけでいいの。
ダメかしら?」
「昼休みと夜は学校のない日はOKです。」
「学校?」
「日本語の学校。っていってもワタシは授業はもうマスターしていますからコミュニケーションの練習にだけ参加しています。」
「そうなの。マークの都合のいい時間で、よろしくお願いします。」