バーチャルウォーズ
それから雪美は試験のために1週間以上、父の会社へ手伝いに行かなかった。
試験が終わってから、雪美は久しぶりの会社ということもあって差し入れを買いにデパートへ寄った。
「外国人労働者もいるから難しいなぁ。
数多く入っているものだからお菓子がいいけど、和菓子にしようかなぁ。
洋菓子にしようかなぁ。」
和菓子コーナーと洋菓子コーナーの間でキョロキョロしていると、ドン!と店員らしき女性がぶつかってきた。
「きゃあ!」
「ス、スミマセン・・・。すぐ片付けマスノデ~~待って、クダサイ。」
「この人、和菓子屋さんの人?外国人なんだ・・・。」
「私が悪いんですから私が手伝います。」
雪美も落ちた和菓子をケースに片付けていると、和菓子屋の店長らしい人がやってきて
「お客様はそのようなことはしないでください。
すべてうちの店員のしてしまったことなんですから。
おい!もうその菓子は売り物にならない。俺は新しい菓子を持ってくるからそれはすぐにもどしなさい。」
「あの!その落ちてしまったお菓子、私が買います。」
雪美は思わずそう叫んでしまった。
「いえいえ、このような落ちたものを販売したとあっては店ののれんに傷がつきます。
私が上司に叱られてしまいますんで、それはご勘弁を。
すぐに新しいものを並べますので、ぜひそちらを・・・。」
「わかりました。新しいのも買いますから、落ちたのも売ってください。」
「えっ・・・。」
「その上司って方を呼び出してくれませんか。
あなたは言いにくいでしょうから、私がお願いします。」
「しかし・・・。その・・・。よわったなぁ。」
雪美は結局、店の主人と電話で話をして、落ちた和菓子を無料でもらうことになった。
「ほんとにスミマセン。ワタシが慌ててぶつかってしまったのに。
ほんとに、ほんとにゴメンナサイ。」
「そんなに謝らないでくださいな。
私が立っていなかったら、あなただって嫌な思いをしなくて済んだはずだもの。
私にも十分責任はありますから。
いっしょにごめんなさいです。ねっ。」
「優しいヒトですね。ワタシは日本にきてから数か月だけしか優しくしてくれる人はいませんでした。」
「あの、ところで、ここでこうやってしゃべって大丈夫ですか?」
「あ・・・もうクビって言われました。こういうの慣れっこです。」
「ひどい!じゃあ私のせいで?
ごめんなさい。あっ・・・そうだ!
もしかして住むところなんかも困っておられるんじゃないですか?
うちに来てください。
部屋があいてるんです。」
「そ、そんなのいけません。私のような身元も不明な外人を連れて帰ったらあなたのお父さんやお母さんが怒ります。」
「身元不明なんですか?
見た感じは普通にアメリカ人っぽいと思いますけど・・・。」
「証明してくれる人がこの国にはいなくて。
愛する人を追いかけてこの国にきたのに、事故でなくなってしまってね。
アメリカに息子を残してきてしまったというのに・・・。
もう帰れません。」
試験が終わってから、雪美は久しぶりの会社ということもあって差し入れを買いにデパートへ寄った。
「外国人労働者もいるから難しいなぁ。
数多く入っているものだからお菓子がいいけど、和菓子にしようかなぁ。
洋菓子にしようかなぁ。」
和菓子コーナーと洋菓子コーナーの間でキョロキョロしていると、ドン!と店員らしき女性がぶつかってきた。
「きゃあ!」
「ス、スミマセン・・・。すぐ片付けマスノデ~~待って、クダサイ。」
「この人、和菓子屋さんの人?外国人なんだ・・・。」
「私が悪いんですから私が手伝います。」
雪美も落ちた和菓子をケースに片付けていると、和菓子屋の店長らしい人がやってきて
「お客様はそのようなことはしないでください。
すべてうちの店員のしてしまったことなんですから。
おい!もうその菓子は売り物にならない。俺は新しい菓子を持ってくるからそれはすぐにもどしなさい。」
「あの!その落ちてしまったお菓子、私が買います。」
雪美は思わずそう叫んでしまった。
「いえいえ、このような落ちたものを販売したとあっては店ののれんに傷がつきます。
私が上司に叱られてしまいますんで、それはご勘弁を。
すぐに新しいものを並べますので、ぜひそちらを・・・。」
「わかりました。新しいのも買いますから、落ちたのも売ってください。」
「えっ・・・。」
「その上司って方を呼び出してくれませんか。
あなたは言いにくいでしょうから、私がお願いします。」
「しかし・・・。その・・・。よわったなぁ。」
雪美は結局、店の主人と電話で話をして、落ちた和菓子を無料でもらうことになった。
「ほんとにスミマセン。ワタシが慌ててぶつかってしまったのに。
ほんとに、ほんとにゴメンナサイ。」
「そんなに謝らないでくださいな。
私が立っていなかったら、あなただって嫌な思いをしなくて済んだはずだもの。
私にも十分責任はありますから。
いっしょにごめんなさいです。ねっ。」
「優しいヒトですね。ワタシは日本にきてから数か月だけしか優しくしてくれる人はいませんでした。」
「あの、ところで、ここでこうやってしゃべって大丈夫ですか?」
「あ・・・もうクビって言われました。こういうの慣れっこです。」
「ひどい!じゃあ私のせいで?
ごめんなさい。あっ・・・そうだ!
もしかして住むところなんかも困っておられるんじゃないですか?
うちに来てください。
部屋があいてるんです。」
「そ、そんなのいけません。私のような身元も不明な外人を連れて帰ったらあなたのお父さんやお母さんが怒ります。」
「身元不明なんですか?
見た感じは普通にアメリカ人っぽいと思いますけど・・・。」
「証明してくれる人がこの国にはいなくて。
愛する人を追いかけてこの国にきたのに、事故でなくなってしまってね。
アメリカに息子を残してきてしまったというのに・・・。
もう帰れません。」