バーチャルウォーズ
咲の説明によると、竹井遼が咲の能力をかって本社CEOの父に咲を思う存分学ばせてもらう代わりに、過去の放蕩息子は返上し、会社のために尽力を尽くすと約束したという。
咲はそんな竹井家の好意に応える以上のがんばりで、大学を飛び級し、経済や経理、経営のノウハウなどを学んでいた。
引き続き、2年ほどアメリカで小さな会社を経営してみる選択肢もあったらしいが、マークの存在を知り、雪美の進路の情報を得て咲は日本の大学の願書を取り寄せ、雪美には内緒で受験していたのだった。
「ずっとなしのつぶてにしていた俺が悪いのはわかっていたんだ。
でも、もう少し・・・もう少しだと必死に言い聞かせながら卒業までこぎつけて・・・やっとこの家に堂々と帰れると思ってたんだけどね・・・。
嫌われてしまったみたいな・・・泣かせてしまったみたいな・・・。
マークに尋ねたらプロポーズは断られたと言っていたし、アメリカにも来ないと・・・。」
「私のせいでもどってきたっていうの?
そんなの嫌だよ。私は咲が夢に向かってがんばってほしいから、その間に自分のやってみたいことをしようって決めたの。」
「雪美がやってみたいことをやるのはどんどんやればいい。
でも、この前みたいなあんなメールだけなんて・・・あれで終わりでいいわけがない!
偉そうに俺も社長になって~なんて言ってがんばってたけど、がんばリ抜いたところに誰もいないなんて嫌だ。
ちゃんと家族が居てくれないと俺はがんばれないよ。
直接会って会いたくないのならそう言ってもらわないと納得できない。
できればそれは勘弁してほしいけど・・・。」
「そんなわけないわ。そんなわけない・・・。
だけど、私たちは若いし、まだ学ばなきゃいけないのは確かだし。
その間に咲が私のことなんて忘れてしまっても、後悔しないって思う練習をしたわ。
おかげで、卒業して心機一転がんばれそうだと思ったのに・・・。
そんな・・・そんないいタイミングでもどってきちゃったら、困るんだから!
どんな顔したらいいかも今とっても悩んでいるんだから!」
「悩め。あはははは。まぁ春からは同学年だからなっ。
俺が機械ではなくて服飾系で学んでいたら、先生として同じ学校へ赴任していたかもしれないがな。
さすがに、それは無理。
いきなりプロポーズはできない身分だけれど、しばらくは普通の大学生としてデートをしよう。」
雪美はあまりに自然な告白に胸の鼓動さえも止まってしまいそうで、自室へと飛び込んで鍵をかけた。
そしてパソコンの電源を入れ、メールを久しぶりにチェックしてみる。
咲からのメールがいくつか受信されていた。
すべてのメールに共通して同じ言葉が書かれていた。
「俺の帰るところは雪美の居る場所だけ。」
(私のいるところに帰る?そんな・・・何も言わずにそそくさと行ったくせに・・・。もう・・・。)
雪美はドアのところへ走り寄って鍵を開けた。と、同時に咲が部屋に飛び込んできた。
「やっと開けてくれた。
あれ、パソコン今まで触ってなかったんだね。
かなり、悲しいかも・・・。まぁ・・・帰ってきたからいいんだけどさ。
あ、そうそうメールを読んでみてくれるのもいいんだけどさ、例のゲームにログインしてみて?」
「ゲームって・・・私ぜんぜんもうやってないよ。」
「じつは・・・さ。雪美から音信不通になってしまったから、すごくさびしくなってしまって・・・いけないと思いながら、以前雪美のIDとパスワードを知ってしまったからスノウをちょっとね・・・。」
「私になりすましたっていうの?」
「他人との接触はぜんぜんないよ。流輝とツーアカみたいな感じでさ。
コツコツとはまってしまってね。
雪美がグリーンアライブにログインしてみると、見たこともない空間に扉だけが待ち構えている状況だった。
「何?この空間?扉を開けちゃっていいの?」
「ああ、すぐにオープンさせてごらん。」
雪美のキャラクターであるスノウを扱って雪美はバーチャル世界のドアを開けた。
たくさんの光に包まれて、閃光がおさまってきたそのとき、スノウと流輝は教会で他のギルドメンバーに祝福されながら結婚式をあげたのだった。
「これって・・・こんなことしてたの?」
「呆れた?子どもっぽいことやったって・・・。」
「ううん、スノウはうれしいわ。幸せよ。
ありがとう・・・感動しちゃった。私・・・。」
「この先は2人でまた始めような。」
「まだできるの?」
「あたりまえだって。結婚して初夜にはどうする?」
「ま、まさか・・・ゲームで子どもなんて。」
「じゃあ、ゲームではないところで続きをするかい?」
「ダメッ!もう、咲ったら。」
「ダメだぞ、咲・・・とうとう自供したな。
所詮、おまえだって俺とかわらずスケベな思考が渦巻いてるってことだろうが。
雪美、だまされるなよ!」
「輝人さん、や、やだ。もう・・・。2人とも出てって!
早く出て行きなさい!もう、Wエッチなんだから、最低!!」
にぎやかになった浅岡の家はまだまだ何かが起きそうです。
おしまい。
咲はそんな竹井家の好意に応える以上のがんばりで、大学を飛び級し、経済や経理、経営のノウハウなどを学んでいた。
引き続き、2年ほどアメリカで小さな会社を経営してみる選択肢もあったらしいが、マークの存在を知り、雪美の進路の情報を得て咲は日本の大学の願書を取り寄せ、雪美には内緒で受験していたのだった。
「ずっとなしのつぶてにしていた俺が悪いのはわかっていたんだ。
でも、もう少し・・・もう少しだと必死に言い聞かせながら卒業までこぎつけて・・・やっとこの家に堂々と帰れると思ってたんだけどね・・・。
嫌われてしまったみたいな・・・泣かせてしまったみたいな・・・。
マークに尋ねたらプロポーズは断られたと言っていたし、アメリカにも来ないと・・・。」
「私のせいでもどってきたっていうの?
そんなの嫌だよ。私は咲が夢に向かってがんばってほしいから、その間に自分のやってみたいことをしようって決めたの。」
「雪美がやってみたいことをやるのはどんどんやればいい。
でも、この前みたいなあんなメールだけなんて・・・あれで終わりでいいわけがない!
偉そうに俺も社長になって~なんて言ってがんばってたけど、がんばリ抜いたところに誰もいないなんて嫌だ。
ちゃんと家族が居てくれないと俺はがんばれないよ。
直接会って会いたくないのならそう言ってもらわないと納得できない。
できればそれは勘弁してほしいけど・・・。」
「そんなわけないわ。そんなわけない・・・。
だけど、私たちは若いし、まだ学ばなきゃいけないのは確かだし。
その間に咲が私のことなんて忘れてしまっても、後悔しないって思う練習をしたわ。
おかげで、卒業して心機一転がんばれそうだと思ったのに・・・。
そんな・・・そんないいタイミングでもどってきちゃったら、困るんだから!
どんな顔したらいいかも今とっても悩んでいるんだから!」
「悩め。あはははは。まぁ春からは同学年だからなっ。
俺が機械ではなくて服飾系で学んでいたら、先生として同じ学校へ赴任していたかもしれないがな。
さすがに、それは無理。
いきなりプロポーズはできない身分だけれど、しばらくは普通の大学生としてデートをしよう。」
雪美はあまりに自然な告白に胸の鼓動さえも止まってしまいそうで、自室へと飛び込んで鍵をかけた。
そしてパソコンの電源を入れ、メールを久しぶりにチェックしてみる。
咲からのメールがいくつか受信されていた。
すべてのメールに共通して同じ言葉が書かれていた。
「俺の帰るところは雪美の居る場所だけ。」
(私のいるところに帰る?そんな・・・何も言わずにそそくさと行ったくせに・・・。もう・・・。)
雪美はドアのところへ走り寄って鍵を開けた。と、同時に咲が部屋に飛び込んできた。
「やっと開けてくれた。
あれ、パソコン今まで触ってなかったんだね。
かなり、悲しいかも・・・。まぁ・・・帰ってきたからいいんだけどさ。
あ、そうそうメールを読んでみてくれるのもいいんだけどさ、例のゲームにログインしてみて?」
「ゲームって・・・私ぜんぜんもうやってないよ。」
「じつは・・・さ。雪美から音信不通になってしまったから、すごくさびしくなってしまって・・・いけないと思いながら、以前雪美のIDとパスワードを知ってしまったからスノウをちょっとね・・・。」
「私になりすましたっていうの?」
「他人との接触はぜんぜんないよ。流輝とツーアカみたいな感じでさ。
コツコツとはまってしまってね。
雪美がグリーンアライブにログインしてみると、見たこともない空間に扉だけが待ち構えている状況だった。
「何?この空間?扉を開けちゃっていいの?」
「ああ、すぐにオープンさせてごらん。」
雪美のキャラクターであるスノウを扱って雪美はバーチャル世界のドアを開けた。
たくさんの光に包まれて、閃光がおさまってきたそのとき、スノウと流輝は教会で他のギルドメンバーに祝福されながら結婚式をあげたのだった。
「これって・・・こんなことしてたの?」
「呆れた?子どもっぽいことやったって・・・。」
「ううん、スノウはうれしいわ。幸せよ。
ありがとう・・・感動しちゃった。私・・・。」
「この先は2人でまた始めような。」
「まだできるの?」
「あたりまえだって。結婚して初夜にはどうする?」
「ま、まさか・・・ゲームで子どもなんて。」
「じゃあ、ゲームではないところで続きをするかい?」
「ダメッ!もう、咲ったら。」
「ダメだぞ、咲・・・とうとう自供したな。
所詮、おまえだって俺とかわらずスケベな思考が渦巻いてるってことだろうが。
雪美、だまされるなよ!」
「輝人さん、や、やだ。もう・・・。2人とも出てって!
早く出て行きなさい!もう、Wエッチなんだから、最低!!」
にぎやかになった浅岡の家はまだまだ何かが起きそうです。
おしまい。