バーチャルウォーズ
結衣子はクスクス笑った。
「これから毎日が楽しみだわぁ~うふふふ。
若いっていいわね。さ~てお夕飯の支度しなくっちゃ。」
その日は夕飯時までに雪美の父、公男も帰宅して楽しい晩餐となった。
結衣子が新しい息子にとても上機嫌なこともあって、公男も楽しく過ごせた。
「いやぁ・・・あの管理人の菅野ミツさんのお孫さんだからと思いながらも、高校生の息子の父なんてやったことないもんだからね、ほんのちょっぴりだけど素行のよくないヤツだったら・・・って心配もなきにしもあらずでね。
兄の弓くんも君もミツさんのように1本筋がしっかり通っている生き方をしていてじつにすがすがしいね。」
「いえ、僕は兄におぶさってるから・・・。
それに・・・先週、あさお・・いや、雪美にお腹が減って倒れてるところを助けてもらって、ほんとにカッコ悪くて。
食事代もお返ししないと・・・。」
「それは返さなくていい。
雪美はいいことをした。それがたまたま君だったのはうれしいことだよ。
その話はそっくり昔の私なんだよ。
アパートの前で野垂れ死に寸前の私に・・・君のおばあさんのミツさんはね、アパートの住人さんと家に運んでくれて、おかゆと煮物を食べさせてくれて、その後も無料で住まわせてくれて、ご飯を食べさせてくれた。
今度は私がお返しする番なんだよ。
しかもね、ミツさんはご自身そんなに裕福でもなかったのに、ご自分の苦労などおかまいなしに私が勉強できるようにがんばってくれてね。
絶対恩返ししようって心に決めてたんだ。」
「僕らにはとてもきびしいおばあちゃんでした。
でも、がんばったときにはいっぱいほめてくれた。
社会的にきびしい中を生きていかなきゃならないんだからって口癖みたいだったし・・・自分でできることは何でも自分でやってきました。」
「えらい!いやぁ・・・母さんも楽しそうだが、父さんもうれしいなぁ。」
「お父さん、うれしいのはいいですけど、飲みすぎはダメですよ。」
「まぁいいじゃないか。まだ未成年だから酒を酌み交わすわけにはいかんが・・・もう少しだしな。はははは・・・。」
両親ともに咲と生活することにとても上機嫌だったのがうれしい反面、ちょっぴり咲に嫉妬してしまう雪美でもあった。
(なんでもできる息子・・・なんにもできない娘って。
嫌だなぁ・・・。私は肩身せまいよ・・・。
先輩を咲って呼ぶのも、家族じゃなくて家のことをお互いしらないままの彼女としてだったら・・・よかったのに。)
新しい家にまだ馴染めないことが多くて、雪美はなかなか眠れなかった。
明日は学校で運営委員会がある。
わりきった態度で咲とやっていけるんだろうか・・・。
雪美は深夜に台所へ行き、飲み物を飲みにいった。
すると、薄汚れたTシャツに破れたジーンズ姿の咲がソファでジュースを飲んでいた。
「あの・・・メガネなくて私が見えますか?」
「この距離ならまあまあ見えるよ。メガネもちょっと度があわなくなってきてて、かけてもかけなくてもあんまり変わらないかもしれないんだけど。
今度バイト料が入ったらメガネは新しくしないと。」
「これから毎日が楽しみだわぁ~うふふふ。
若いっていいわね。さ~てお夕飯の支度しなくっちゃ。」
その日は夕飯時までに雪美の父、公男も帰宅して楽しい晩餐となった。
結衣子が新しい息子にとても上機嫌なこともあって、公男も楽しく過ごせた。
「いやぁ・・・あの管理人の菅野ミツさんのお孫さんだからと思いながらも、高校生の息子の父なんてやったことないもんだからね、ほんのちょっぴりだけど素行のよくないヤツだったら・・・って心配もなきにしもあらずでね。
兄の弓くんも君もミツさんのように1本筋がしっかり通っている生き方をしていてじつにすがすがしいね。」
「いえ、僕は兄におぶさってるから・・・。
それに・・・先週、あさお・・いや、雪美にお腹が減って倒れてるところを助けてもらって、ほんとにカッコ悪くて。
食事代もお返ししないと・・・。」
「それは返さなくていい。
雪美はいいことをした。それがたまたま君だったのはうれしいことだよ。
その話はそっくり昔の私なんだよ。
アパートの前で野垂れ死に寸前の私に・・・君のおばあさんのミツさんはね、アパートの住人さんと家に運んでくれて、おかゆと煮物を食べさせてくれて、その後も無料で住まわせてくれて、ご飯を食べさせてくれた。
今度は私がお返しする番なんだよ。
しかもね、ミツさんはご自身そんなに裕福でもなかったのに、ご自分の苦労などおかまいなしに私が勉強できるようにがんばってくれてね。
絶対恩返ししようって心に決めてたんだ。」
「僕らにはとてもきびしいおばあちゃんでした。
でも、がんばったときにはいっぱいほめてくれた。
社会的にきびしい中を生きていかなきゃならないんだからって口癖みたいだったし・・・自分でできることは何でも自分でやってきました。」
「えらい!いやぁ・・・母さんも楽しそうだが、父さんもうれしいなぁ。」
「お父さん、うれしいのはいいですけど、飲みすぎはダメですよ。」
「まぁいいじゃないか。まだ未成年だから酒を酌み交わすわけにはいかんが・・・もう少しだしな。はははは・・・。」
両親ともに咲と生活することにとても上機嫌だったのがうれしい反面、ちょっぴり咲に嫉妬してしまう雪美でもあった。
(なんでもできる息子・・・なんにもできない娘って。
嫌だなぁ・・・。私は肩身せまいよ・・・。
先輩を咲って呼ぶのも、家族じゃなくて家のことをお互いしらないままの彼女としてだったら・・・よかったのに。)
新しい家にまだ馴染めないことが多くて、雪美はなかなか眠れなかった。
明日は学校で運営委員会がある。
わりきった態度で咲とやっていけるんだろうか・・・。
雪美は深夜に台所へ行き、飲み物を飲みにいった。
すると、薄汚れたTシャツに破れたジーンズ姿の咲がソファでジュースを飲んでいた。
「あの・・・メガネなくて私が見えますか?」
「この距離ならまあまあ見えるよ。メガネもちょっと度があわなくなってきてて、かけてもかけなくてもあんまり変わらないかもしれないんだけど。
今度バイト料が入ったらメガネは新しくしないと。」