優しい秘密
僕は、最近まで東京に暮らしていました。

三月に入り春休み、家族で福島の飯館にあるおばあちゃんの家に遊びに行っていた時、


それは起きました。


僕達は津波の被害はまぬがれたものの、頭のてっぺんからつま先まで決して忘れる事のできない恐怖

と痛みが僕達を襲った事は決して忘れられないものとなりました。

幸いおばあちゃんも無事でした。



それから3ヶ月、僕達、家族は福島で被害にあった人達のために協力し合いながら、助け合いながら

復興に向け風評被害や空気汚染に海洋汚染、あらゆる汚染被害と戦っていた。


しかし、三ヶ月が過ぎ、兄と僕に体のだるさや異変がではじめたのです。


念のためにと、近くの病院で見てもらうと疲れや風邪の一種と診断され、ビタミン剤や下痢止めとい

った物しかもらえませんでした。

周りにいた子達も同じ症状に苦しんでいました。

僕は原因も分かっていましたが、大人達に伝える方法が分からずにいました。

ある日、ハルがスマッシュと走っているといつの間にかスマッシュの方が速い事に気づきました。

これを両親達に話すと、慌てふためき、パニック状態。急いで大きな東京の病院で見てもらうと、甲

状腺結節がみつかり、その後の検査では僕にも異常が見つかりました。

それからすぐ、山梨に静養する事になりました。


その時に、身寄りのない子供や、更生保護の必要な子、同じく静養が必要な子、18人と指導員のお

じさんと保母の先生の24人で新しいスタートを切る事になりました。

母と父の生まれ育った養護施設を改装して作った子供専用ホテル『ラスベガス』

おばあちゃんは今も福島で戦っています。ちなみにおばちゃんと言ってもまだ、50手前だそうです。



そして、僕の病気というのは甲状腺結節もそうだけど、もう一つあります。


             『サバン症候群』


映画やドラマでおなじみのやつです。

何も知らない人のために、この病気は自閉症の一種で、知的障害の事です。

この病気の有名な人を例えると、
理論物理学者、アルベルト・アインシュタイン、

天才発明家、トーマス・アルバ・エジソン、

万能人、レオナルド・ディ・セル・ピエーロ・ダ・ヴィンチ、

天才作曲家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、などが挙げられる。


             別名『天才症候群』。


僕の場合は記憶力が半端じゃない。

一度見たり、聞いたりした物は決して忘れない。


無限記憶容量ハードディスク型だ。


この事は、母しか知らない二人だけの秘密だ。


僕は秘密が大好きだ。


僕は特に、母とこの『秘密』の糸で結ばれている事が嬉しかった。


『お父さんに話すと泣いちゃうから二人だけの秘密ね』
< 2 / 8 >

この作品をシェア

pagetop