星月の君




 そうして、帰ってきたんだよな………。



 我に返って、今いる状況を僅かに確認する。
 そう、今は遠出しているのではない、友人である敦忠邸に来ているのである。それだけならば別にどうってことはない。

 問題なのは「あんのくそ野郎!」と怒っている敦忠のほうだ。

 話があるから来いと言っておいて、これだ。
 さっきからずっと愚痴ってばかりである。





「基俊があの美女の家に通ってるって!ああもう、あの人ってば僕には会いませんって断固譲らなかったのに。あんな性格大絶滅している奴には会ってるだなんて信じられない」

「……お前、基俊殿と話したことがあったのか」

「あるよ。目の前で女房らとアヤシイ会話をしていた後っていう残念な出会いだったけど」

「ああ……」





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