星月の君
あの身の危険を感じる文(といったら失礼かもしれないが)が届いてから、静は私の部屋で寝るようになった。
それはそう、私の身代わりといえよう。 だからすぐ近くで入れ替われるように、寝るようにしていた。そうしてあっという間に日にちが過ぎていく。
返事がない、脈がないと捉えられただろうか?
もう大丈夫じゃないか、と静にいったのだが、彼女はもう少し様子を見ようといって、身代わりをつとめていた―――――時だった。
それは、ちょうどそう、恋人同士ならば共にいる時間であろう。
うつらうつらとしていた私は、物音と人の気配ではっとした。
部屋を仕切る布と、屏風の向こうには私と入れ替わって、私の部屋で眠っている静がいる。気配がしたのはそちらのほうからだった。
「―――――もし、そこにいるのは誰か」
静の声がして、返ってきたのは「今宵は」という男の声。それに同じく目を覚ました小雪が私の衣を掴んでいた。
「美しい夜空ですね――――星姫という名に相応しい夜だ」
――――星姫?
静には、「知っている人以外だとわかったら、すぐさまお逃げください」といわれている。
静は、と聞けば彼女は身を守る術があるから平気だといっていた。それでも、と渋る私を小雪が眉をきっと上げて「ひめさま」と引っ張った。
音をたてないように部屋をぬける。