【BL】愛、言葉
そして僕は兄さんに好きだと言ったことがない。
いや、正確には言わせてもらえない。
言おうとすると見計らったように口を塞がれる。
僕の気持ちは告げられない。
兄さんは僕の気持ちから目を背け、真っ直ぐ僕を見てくれない。
何年も、そしてこれから先も………ずっと………。
「涼(リョウ)、おいで」
今夜も兄さんに呼ばれ、その温もりに抱かれる。
こんなに温もりは優しいのに………
どうしても心が満たされない。
「兄さん………っ」
「涼?」
「兄さん…兄さん…兄さん……っ」
瞳から溢れた涙が止まらず、僕は兄さんの腕に縋った。