【BL】愛、言葉
「最後の逃げ道を残してやっていたのに。」
「逃げ……道?」
「俺からの逃げ道。」
そう言って僕の肩口に顔を埋めた。
「これでも罪悪感はあるんだ。いけない事だって分かってる。未来あるお前を巻き込んだのは、俺だ。」
初めて聞く兄さんの本音だった。
「酷い兄貴だな。血を分けた兄弟、それも同性同士で…本当ごめんな?」
僕は声に出さず、首を横に振った。
「ずっと言いたかった言葉がある。でもこれを言ったら、もう戻れない。俺から逃げられない。それでもいいか?」
額と額がぶつかる距離。
「うん………」
頷いた途端に奪われる唇。
それは激しく、呼吸さえも奪われる。
唇が解放される頃には、すっかり息が上がっていた。
「可愛いな。涼……――愛してる。お前は俺のものだ。俺だけの。ずっと、一生な。分かったか?」
頭がクラクラする。
キスのせい?
それとも甘い囁きのせい?
ぼーっとする思考の中、兄さんの首に腕を回す。
「うん。僕は兄さんのものだよ。」
「いい子だ。」
優しく撫でられた後は、再び激しいキス。
息を整える暇もなく、体中にキスが降り注いだ。
――END――