ベストマリアージュ



あれから、私は何も手につかず、パートと家の往復をするだけの日々を過ごしていた。


さとしに会うことも、大地から連絡がくることもなく、自分がまるでいらないもののように感じた二ヶ月


あんなに頑張っていたおしゃれにも気を使わなくなり、季節が移り変わっても、さとしが選んでくれた服をいつまでも着ているといった有り様だ。


顎くらいに切り揃えられていた髪も、今では肩につくくらい伸びていた。


このまま、毎日がぼんやりと通りすぎて、歳を取っていくのかと思うと、虚しさでいっぱいになる。


いつまでも実家にお世話になってるわけにもいかず、私はただ生きているのが辛かった。


「珠美?あんた最近変よ?どうしたの?」


夕飯の時に、母にそう言われてドキッとした。


父はまだ仕事から帰っておらず、母と二人の夕食だ。


「そんなことないよ?

なんにもないし……」


精一杯笑ってそう言ったつもりだったのに、さすがは母だ、騙されてはくれない。

< 106 / 307 >

この作品をシェア

pagetop