ベストマリアージュ
「おい、ぶーす」


ふいにそんな失礼な言葉が耳に届いた。


「誰がブスよ!」


思いっきり睨みをきかせて右斜め前にある窓の方を向く。


「こんな時間までパジャマで、ボサボサ頭にすっぴんまでさらして、いい歳した女が、ブス以外になんなんだよ」


うんざりするような言葉を捲し立てるのは、お隣に住む幼馴染みのさとしだ。


「うるっさいわね!

人がどんな格好で何時まで寝てようが、あんたには関係ないでしょ!?」


2つ年下のこの男は、なにかというとちょっかい出してくる。


「そんなんだから、離婚されんだよ、バカ珠美ぃ」


「大きなお世話!ほっといてよ!バーカ!」


そう捨て台詞を吐いて、私は窓を思いっきり閉めた。


まだ傷が癒えたわけじゃない。


離婚を受け入れたとはいえ、まだ彼のことを愛していた。


それなのに、さとしめ!


傷口に塩を塗るようなこと言わなくたっていいじゃない!


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