ベストマリアージュ
〈俺はもう一度、珠美に会いたい〉


私に会いたい?寝たいの間違いじゃないの?


結局、大地は変わらない。


自分にパートナーがいても、他に目を向けることが出来る男だったんだ。


私も同じことをされてたっていうのに、ずっと信じてたなんて……


頑張れば私だけを愛してくれるって思ってたなんて……


そんな自分が馬鹿みたいだ。


ようやくわかった。


さとしが私に言いたかったこと。


なんであんなに怒ってくれたのかも。


〈奥さんを大切にしてあげてね?ばいばい〉


そう入力して送信した。


負け惜しみじゃない。


心の底からそう思えた。


もう同じ過ちを繰り返してほしくない。


あんなに大好きだった人なんだから……


これ以上、幻滅させてほしくない。


大地から返事が来る前に、彼のアドレスと番号を着信拒否にした。


それからその2つともを、電話帳から削除する。


ようやくこれで吹っ切れた気がした。


ここからだ。


私はここから、前に進むことが出来る。


明日になったら、さとしに会いに行こう。


前向きな報告を彼に伝えるために……



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