ベストマリアージュ
最後は私に同意を求めるように、顔を向ける。


私は唇を噛み締めながら、大きく頷いた。


「……ふぅん……で、なに?」


相変わらず興味なさそうに冷たくそう言い放つ。


前みたいに、いじわる言われた方がましだと思った。


こんな言われ方するくらいなら……


でも、ちゃんと話さなきゃ。


そのために来たんだから。


「か……」


「か?」


「か、髪!切ってもらおうと……思って……」


「は?」


思ってもみなかったのか、さとしは訝しげな顔をして、そう聞き返す。


「あらぁ、いいじゃない

切ってあげなさいよ、さとし」


おばさんは名案だとでもいうように、私とさとしを見比べた。






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