ベストマリアージュ
ふいにベッドから立ち上がるさとしの気配がした。


ハッとして見上げると、そこにはもうさとしの胸があって……


気がついたら私は、さとしにきつく抱き締められていた。


体が震えた。


さとしの傍はこんなにも居心地が良くて、すごく安心する。


やっとわかった。


私はいつの間にか、さとしのことが、好きになってたんだ。


「……ばーか」


さとしのバカにしたような声が聞こえる。


それはもう、前みたいにからかうような意地悪な口調。


それが嬉しくて、私の涙はますます止まらなくなる。


「泣くなよ、バカ珠美」


言葉とは裏腹に、さとしの手は優しく私の髪を撫でてくれていた。


どのくらいそうしてただろうか?


ようやく泣き止んだ私を、さとしがそっと引き離す。


そこにはさとしの、苦笑したような顔。


その顔が、急に真面目になってじっと見つめられた。


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