ベストマリアージュ
大地にヤキモチ妬くところも、自分より大事な用だと言われて怒るところも……


私が好きなんだと言ってるようなものだから、憎めない。


「明日は……ほんとにダメなの……」


このままじゃ、らちがあかない。


だから少しだけ、下手に出てみることにした。


悲しそうに、寂しそうに、そんなニュアンスを含んだ声色で。


「……なんなんだよ?用って」


ほら、やっぱり私がトーンダウンしたのにつられて、さとしも少し落ち着きを見せてる。


でも答えようによっては、もしかしたら……


また怒り出すことになるかもしれない。


そんな事態はなるべく避けたい自分がいた。


てことは……


やっぱり嘘つくしかない……か。


「明日、仕事なんだ……」


「仕事?明日は火曜だろ?いつも休みじゃねぇか」


「うん、そうなんだけど、他の人と変わったの」


「じゃあまた変わってもらえ」


「無理だよ、だってその人も用事があって頼まれたんだから」


「他のやつに変わってもらえばいいだろ?」


「だから、人手が足りないんだって!」


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