ベストマリアージュ
自分は仕事ばかりであまり帰ってこないくせに、人が仕事だって言ってんのに、この態度はない。


思わず、叫んだ私に、さとしはしばらく無言になった。


私もボロが出ないように、黙りこむ。


「……」


「……」


嘘ついたことは、心苦しい。


でも、さとしには言いたくなかった。






二週間前――


突然かかってきた電話に、私は少なからず驚いた。


電話の相手は、一度だけ会ったことのある人。


大地の今の奥さんだ。


もう今は大地に未練はないけれど、彼女に後ろめたいことをしたのも確かなわけで……


緊張しながら、彼女の話に耳を傾けた。


「もう夫には会わないでください」


彼女の第一声がこれだった。


「会いませんよ?

もう関係ありませんから」


なんとか気持ちを落ち着かせながら、なるべく優しくそう言った。


でも……


「嘘!知ってるんです!私」


「何を……ですか?」


「あなた、離婚してから大地に会ったでしょ?

しかも……それだけじゃない!」


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