ベストマリアージュ
「バーカ!そんなん知ってるっつーの!」


そう言い捨てて、クルッと体を反対側に向けると、行くぞ!と言って、ちょうど来た電車に乗り込んだ。


その後ろ姿を見ながら、照れてるんだと気づいておかしくなる。


大地と違って、好きだとかそういう言葉はくれたことないけど……


付き合うようになってから、なぜか一度も私に触れることはないけど……


それでもさとしはちゃんと私を大切に思ってくれてるんだと実感した。


大地に嫉妬して、こんなとこまでつけてくるほどに……


思わず顔がほころぶのを感じながら、さとしの後を追う。


わざとブスッとした顔で手すりに寄りかかるさとしの隣に寄り添いながら、大地には感じたことのない愛しい気持ちが芽生えるのを感じた。



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