ベストマリアージュ
先週、さとしと少しだけ口論になった。


いつもこっちに来てもらってばかりだから、私が寮に遊びにいくって、軽い気持ちで言ったときのことだ。


「あ?いいよ、俺が帰るから、気にすんな」


一見、私を気遣っての言葉のように聞こえるけど、なんとなくそのときはピンと来たのだ。


「もしかして、私が寮に遊びにいくの、やなの?」


少しとげのある言い方だったかもしれない。


それでもさとしは気にすることなく、平然と答えた。


「別に嫌とか、そんなんじゃねぇし

お前が実家に世話になってるフリーターだから、あんまり金使わなくていいようにしてんだろ?」


その言葉にカチンときた。


確かに週に四日程度、スーパーでパートの仕事をしている私は、実家に食費という名目で3万ほど入れている。


それ故にただでさえ少ない給料が、もっと少なくなっているのは事実で……


さとしが私の倍以上稼ぎがあるのは分かっていたから、今まで甘えてたけど、なんとなくそれだけじゃない気がして心配だった。


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