ベストマリアージュ

よろけながら玄関に入ると、廊下の先にあるリビングらしき部屋からさっきの女の人が駆け寄ってきた。


「あぁ！良かったぁ

間に合ったんだね？さとし！」


嬉しそうに私の手を掴んでブンブン振り回す彼女は、さっきの印象とは少し違うように見えた。


「あの、えっと……」


されるがままになりながら困惑していると、後ろから入ってきたさとしが、意外な言葉を口にした。


「てめぇ！なに勝手に触ってんだよ！離せ！」


女の人から奪い取るように、私の体を羽交い締めにすると、彼女に見せつけるようにほっぺたにキスをしてくる。


「ちょっ！なっ……！」


恥ずかしくなって身動ぎすると、さとしは逃げないようにますます力強く抱き締めてきた。


だって、付き合ってから一度もそういうことしなかったのに、なんでこのタイミング？


彼女もいるのに、なに考えてんだろう？