ベストマリアージュ
「こいつ、男だから」


ふうん、そっか、男なんだ。


って?あれ?


「お、おとこぉぉぉぉぉ!」


びっくりしすぎて、叫びながら、目を真ん丸にして彼女を見る。


どう見ても、綺麗な女性なんですけど……


「あぁ……ごめんね?

そ、俺、男なんだ」


そう言いながら、自分の髪の毛を引っ張ると、茶色のふわふわなそれが、ズルッと頭から取れた。


中から現れたのは、短くて黒い髪。


それでも綺麗にメイクされた顔からは、ショートカットの女性にしか見えない。


「あれ?まだ疑ってる?

それはそれで嬉しいけど、じゃあ……はい、これ」


見せてきたのはスカートから覗く、大量のすね毛。


さっきは顔ばっかり見てたから、気づかなかった。


「わかったろ?浮気じゃないって

こいつは隣に住んでる同僚

たまにメイクとかカットの練習させてもらってんだよ」


後ろから覆い被さるように抱き締めてた腕を緩めて、今度は私の肩を抱く。


「よろしくね?珠美ちゃん

俺は、三宅優也

優ちゃんて呼んでくれていいよ?」


ニッコリと笑いながらそう言った彼は、やっぱり男の人とは思えないほど綺麗で……


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