ベストマリアージュ
「なにが、優ちゃんだ

疑惑は晴れたんだから、とっとと自分の部屋に帰れ!」


「えー、ひどーい

珠美ちゃん来てたこと、せっかく教えてあげたのに」


「お前がいなきゃ、今頃普通に部屋でゆっくり寛いでたっつーの!」


なんか、仲良しなのかな?


部屋も隣だって言ってたし、なんかこういうの見れて嬉しいかも。


「わかった、わかった

もう邪魔しませんって

じゃあね?珠美ちゃん」


さとしがさっさと部屋の中に入っていって、私も続いて上がろうとしたとき、優也がすれ違い様に、耳元でそっと囁いた。


「さとしのこと、狙ってるのは本当だから」


「えっ?」


振り返って彼の顔を見ようとしたときには、すでに玄関のドアが閉まるところだった。


――なに?今の……


狙ってる?それってさとしのこと好きってこと?


呆然とその場に立ち尽くしていると、さとしが奥から私を呼んだ。


「おい、なにやってんだよ

さっさと上がってこい」


「あ……うん」


パタパタと小走りでリビングへと向かう。


さっきの彼の言葉が頭に残ったまま、さとしの隣にゆっくりと腰を下ろした。


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