ベストマリアージュ



フローリングの簡素な部屋にはテレビとテーブル、ソファーくらいしか置いてない。


家具で仕切られた隣の部屋には、結構大きめなベッドが置いてある。


ワンフロアにキッチン、バス、トイレ付き。


一人で住むには十分な広さだ。


ワンフロアとは言っても、ベッドルームを仕切れるくらいだから、20畳くらいはありそうに見える。


「なんか飲む?」


ソファーにもたれていたさとしがそう言って立ち上がった。


私は向かい側に座っていて、キッチンに近い場所にいるから、慌てて立ち上がる。


「あ、私やるよ?」


「いいから座っとけって

一応、客だろ?」


仕方なくもう一度座り直して、さとしが戻ってくるのを待った。


なんだか、すごく緊張してきた。


勢いで来ちゃったのはいいけど、さとしの実家と違って、ここでは二人きりだ。


もしかしたらもしかするかもって、新調した上下お揃いのピンク地に黒のレース。


さとしに今日、お披露目できるかもしれない。


大地のためにいろいろ教えてくれたさとしは、自分のためには私に触れない。


大事にされてるのかもって思ったりもしたけど、私が限界だった。


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