ベストマリアージュ
やっと気づいたのかよ、と吐き捨てて、優也は私をグイグイ引っ張っていく。


「あの!え?ちょっ!どこに!」


パニック過ぎてなにをいってるのかわからない単語を言い続けた。


「シッ!」


ズルズル引きずられている私を振り返った優也は人差し指を口に当てて静かにしろとゼスチャーをする。


「さとしに聞こえんだろ?

嫌なんだろ?今、顔合わすの」


そうだった。


今はさとしに会いたくない。


さっき、覚悟を決めて出てきたんだもん。


こんなべそべそ泣いてるとこなんか見せられない。


声を出さずにコクコク頷くと、さとしの部屋のひとつ前のドアを優也が手慣れた様子でグイッと開けた。


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