ベストマリアージュ
「どうぞ?上がれば?」
玄関先で動けないでいると、優也がそう言って中に入っていった。
いいのかな?入っちゃっても。
一応、男の人の部屋だし、やっぱり遠慮した方が……
「なにやってんのぉ!
早く上がってきなよ!」
高めの声がそう叫ぶのを聞いて、私は反射的に靴を脱いだ。
恐る恐る上がって、さとしの部屋とは間取りが逆のリビングに顔を出す。
優也はベッドにゴロンと横になっていた。
「あ……の」
「そこ、適当に座れば?」
指差したのは、まあるいラグの上。
私は言われた通りにそこにポスンと腰かけた。
テレビもソファーもないワンルーム。
広い部屋に私が座ってるラグとキングサイズのベッド。
それに大きな鏡と椅子だけが置かれていた。
あんまり生活感がなさすぎて、さとしと同じ部屋とは思えない。
キョロキョロと見回していると、ちょうどベッドに寝転がってた優也と目が合った。
「……」
「なんだよ?」
「いえ……なんで」
「なんで部屋に入れたかって?」
「は……ぃ」