ベストマリアージュ
優也は面白そうに私を観察しながら、ベッドに腰かけて笑ってる。


「そんなこと、ないです!」


きっぱりはっきり断らなきゃ。


いくらなんでも同僚の彼女に、無理矢理ってこともないだろうから。


負けないように、キッと睨み付ける。


「ぷ、本気にすんなって」


腹いてー、と天井を見上げて、優也はクスクス楽しそうに笑った。


なんか、すごく遊ばれてる気がするのは気のせい?


この人、絶対、私をからかって楽しんでる。


「やっぱり帰ります!」


勢いよく立ち上がってそう宣言すると、私は玄関に向かって歩き出した。


「ふぅん、このままさとしと仲直りできなくて別れちゃっても、いいんだ」


不吉なことを後ろから言われて、私の足はピタッと止まってしまった。


「少しここで頭冷やして、後でまたさとしのとこ行ってみたら?」


急に優しい声をかけられて、涙腺が弱まっていく。


「ほら、こっち、戻っておいで?

話くらいなら聞いてあげるから」


どんな人かもわからないのに、ダメだって思うのに、誰でもいいからすがりたかった。


私は全然変わってない。


< 177 / 307 >

この作品をシェア

pagetop